商品の独自性を視覚で伝え、心を動かす「デザイン」の世界
「視覚」で伝えるプロフェッショナル
コンビニやスーパーには、たくさんの商品が陳列されています。その中からモノを買う時、私たちはまず「目」で選びます。ペットボトルのお茶であれば、サントリーの『伊右衛門』やキリンの『生茶』といったブランドで商品を区別します。そして、パッケージの図柄や文字などから、その商品ならではの魅力や特徴などをとらえて、選ぶヒントにします。このように、一つひとつの商品の独自性を視覚で伝達し、心を動かすのが「デザイン」の本質であり、そのプロフェッショナルが「デザイナー」なのです。
「ミクロ」と「マクロ」の視点を併せ持つ
ただし、美しくかっこよく見せることだけがデザインではありません。例えば、ある企業が「体に良い健康飲料」というコンセプトの商品を企画したとします。そのナチュラルな味わいを手に持った時にも感じてもらえるよう、フォルムを左右非対称にして手に優しくフィットするようなデザインにします。一方、飲み口は容器が回転しても一定の位置を保てるようにして、製造時の生産性を効率化します。このようにデザイナーはミクロの視点で、商品開発を行っているのです。さらに、企業やユーザーのニーズに応えるためには、時代の風潮や社会の変化を読み取るマクロな視点も必要です。デザイナーは常にこれからの世界を見据え、その時にどんな商品が求められるかを意識しながらデザインに反映しているのです。
多様な分野と連携・共働する
多くのデザイナーは、例えばポスターやパンフレットなどをつくるとき、言葉のプロフェッショナルであるコピーライターとコンビを組んで仕事をします。また、作りたい商品を実現するためには、専門の技術や知識を持つエンジニアの協力も必要です。このようにデザイナーは自らのビジュアルイメージを商品に反映させるために、幅広い分野に働きかけ、共働しながらものづくりを行っています。ミクロとマクロの視点を持ち、さまざまな分野との連携によって商品を生み出すデザインの発想や役割は、今後ますます重要視されていくでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
京都工芸繊維大学 工芸科学部 デザイン科学域 デザイン・建築学課程 准教授 西村 雅信 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
デザイン学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?