認知行動療法で、「あがり症」を改善する
緊張するとうまくいかないのはなぜ?
人前で発表するときに、あがってしまった経験はありませんか? 緊張すると練習ではできていたことがうまくいかなくなります。「あがり症」は不安によるものです。人の目に自分がどう映るのかという気持ちや、うまくやりたいという気持ち、パフォーマンスが自分の理想水準にたどり着かないかもしれないという気持ちが、不安を引き起こします。
子どもの頃はあがらない
子どもの頃、幼稚園などでの発表会では、周りを気にせず大きな声を出せた人は多いでしょう。あがり症は育っていく過程で出てくるものなのです。人の発達の中で自意識が完成する時期と関係しています。人は成長するにつれて自分と他人を分離して認識しはじめます。外からの目を持って自分を見られるようになるので、人目が気になってくるのです。中高生になると、服装や髪型を意識するようになるのもこのためです。
しかし、あがったり、緊張したりするのはネガティブなことばかりではありません。パフォーマンスを高める要素でもあるのです。「逆U字仮説」といって、線グラフにすると、不安や緊張度の増大に対して、パフォーマンスはUを逆さにした形になります。つまり、不安や緊張が低すぎても高すぎても良いパフォーマンスは得られないのです。
考え方や行動を変えてみる
誰にでも効く、あがらないための魔法の解決法はありませんが、「認知行動療法」では不安の要因を分析し、考え方や行動を見直すことで改善や緩和をめざします。例えば、一般に周囲の評価より自己評価のほうが低くなりがちなので、自分では満足でなくても周りの人から見たら合格点かもしれない、という視点を持つことも大切です。
うまくいかなかったことばかり気にするのではなく、できたことに目を向けることもよいでしょう。発表のときに目線を上げ、聞きやすい声のトーンを心がけるのも効果があります。どういう方法が効くかは個人差があるので、その人に合った方法を探し当てることが必要です。
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先生情報 / 大学情報
目白大学 心理学部 心理カウンセリング学科 准教授 笹川 智子 先生
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