溶けにくいアイスクリームでフードロスを防ぐ!
食品のフードロスを考える
近年の日本ではパン食が増え、主食であるコメの消費量は減少しています。フードロス削減の観点から、白米以外でのコメの活用が研究されています。例えば、米粉を使った食品開発もその一つです。小麦粉の代わりに米粉を使ったパンは、小麦アレルギーの人でも食べられるグルテンフリーの食品としてその特性が注目されています。しかし、米粉は扱いの難しい食材でもあります。小麦のパンは酵母の発酵でガスが発生してふくらみ、グルテンがそれを外に逃がさないことで柔らかさを保ちます。一方、米粉だけで作ったパンはグルテンを含まないため、時間がたつと固くなりやすいのです。これを克服するために、調理時に米粉の一部を水に溶き、糊化(こか)させた米粉をブレンドするなどの研究が行われています。
溶けにくいアイスクリーム
また、豆腐を作る際に余剰となる「おから」の活用についても注目されています。おからは食物繊維を豊富に含む有用な食材として、これまでもさまざまな活用法が考えられてきました。現在は新たに米粉やおからの特性を生かした「溶けにくいアイスクリーム」が研究されています。これは一般的なアイスクリームのように液状に溶け出さないため、食事に時間がかかる乳幼児や高齢者にとっても食べやすく、適度なとろみがついて誤飲も防ぎます。米粉アイスは口溶けがよく、おからアイスは大豆の風味と微かにザラッとした食感も得られます。
米粉やおからの可能性
試作されたアイスは多くの人に味わってもらい、風味や食感のテクスチャーをより強くするべきか、抑えるべきかなどについてデータの収集(官能検査)が行われます。また、米粉やおからの量や比率を変え、溶けにくさがどのように変化するのかを実験することで、おいしさと溶けにくさの両立をめざした改良が進められています。これらの研究によって得られたノウハウで、米粉の性質の理解が進み、パンやアイスクリーム以外のさらなる食品の開発が期待できるでしょう。
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