講義No.14022 食物・栄養学

溶けにくいアイスクリームでフードロスを防ぐ!

溶けにくいアイスクリームでフードロスを防ぐ!

食品のフードロスを考える

近年の日本ではパン食が増え、主食であるコメの消費量は減少しています。フードロス削減の観点から、白米以外でのコメの活用が研究されています。例えば、米粉を使った食品開発もその一つです。小麦粉の代わりに米粉を使ったパンは、小麦アレルギーの人でも食べられるグルテンフリーの食品としてその特性が注目されています。しかし、米粉は扱いの難しい食材でもあります。小麦のパンは酵母の発酵でガスが発生してふくらみ、グルテンがそれを外に逃がさないことで柔らかさを保ちます。一方、米粉だけで作ったパンはグルテンを含まないため、時間がたつと固くなりやすいのです。これを克服するために、調理時に米粉の一部を水に溶き、糊化(こか)させた米粉をブレンドするなどの研究が行われています。

溶けにくいアイスクリーム

また、豆腐を作る際に余剰となる「おから」の活用についても注目されています。おからは食物繊維を豊富に含む有用な食材として、これまでもさまざまな活用法が考えられてきました。現在は新たに米粉やおからの特性を生かした「溶けにくいアイスクリーム」が研究されています。これは一般的なアイスクリームのように液状に溶け出さないため、食事に時間がかかる乳幼児や高齢者にとっても食べやすく、適度なとろみがついて誤飲も防ぎます。米粉アイスは口溶けがよく、おからアイスは大豆の風味と微かにザラッとした食感も得られます。

米粉やおからの可能性

試作されたアイスは多くの人に味わってもらい、風味や食感のテクスチャーをより強くするべきか、抑えるべきかなどについてデータの収集(官能検査)が行われます。また、米粉やおからの量や比率を変え、溶けにくさがどのように変化するのかを実験することで、おいしさと溶けにくさの両立をめざした改良が進められています。これらの研究によって得られたノウハウで、米粉の性質の理解が進み、パンやアイスクリーム以外のさらなる食品の開発が期待できるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

広島文教大学 人間科学部 人間栄養学科 講師 山口 大貴 先生

広島文教大学 人間科学部 人間栄養学科 講師 山口 大貴 先生

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食品学、栄養学

メッセージ

学ぶ意義を見つけられず、思うような大学生活を送れていない学生を目にすることが多くなっています。自分は何がしたいのか、何ができるのか、無理なく自然に続けられるような興味の方向性を見つけてください。大学は大人になるための準備期間でもあります。将来へのビジョンがあると、学問への取り組みも能動的になります。そして、もし何か悩みがあったら勇気を出して教員に相談してください。教員は遠くて恐い存在ではありません。きっとあなたの力になってくれるはずです。

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