講義No.13132 医学

変わる医学教育 実習の充実、チーム医療への布石

変わる医学教育 実習の充実、チーム医療への布石

増える1~2年生の早期体験実習

医学教育は、各大学が独自の教育理念や地域のニーズを踏まえたオリジナルのプログラムを取り入れるようになり、どんどん変化しています。特に多様化しているのが実習です。医学部1~2年生の授業は、以前はほとんどが講義でしたが、今は早期体験実習が増えています。実習は大学の外に出て、地域の病院・診療所や高齢者施設などで行われることもあります。

地域の人とふれあうフィールドワーク

ある大学では、医学科、看護学科の1~2年生が「地域基盤型」のフィールドワークを行っています。グループで地域を担当し、1年目には保健所の職員や地域で暮らす人へのインタビューも実施しながら、その地区の健康課題を探ります。2年目には、例えば減塩教室を開く、健康体操を考案する、というように健康課題を解決に導く活動を行います。
こうした「地域基盤型」の活動の大きな目的は、地域の人とのふれあいを通して、地域社会・医療を理解し、全人的・総合的な視野を育てることです。病気だけ・臓器だけをみるのではなく、患者の心理や暮らし、地域社会なども理解する全人的な医療が必要とされています。

チームワークも大切な学び

5~6年生(大学によっては4年生後半~)の臨床実習は、見学するだけでなく実際に診療に参加する「診療参加型実習」が主流になっています。先進医療を行っている大学病院だけでなく、よくある疾患や、救急の診療を経験できる、地域の病院・診療所での診療参加型実習を行うこともあります。多くの大学では、地域の病院において長期間スタッフの一員として実習を行う長期臨床実習(LIC)というプログラムを取り入れています。現在の医療は患者を中心に多くのスペシャリストが連携するチーム医療であり、実習は、コミュニケーションやチームワークを学ぶ場でもあります。またこの診療参加型実習に海外研修を取り入れ、国際的な視野を育むプログラムを行っている大学もあります。実際に体験し省察することで多くの学びが得られ、次の学びへとつながっていきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

三重大学 医学部 医学系研究科 生命医科学専攻 准教授 吉山 繁幸 先生

三重大学 医学部 医学系研究科 生命医科学専攻 准教授 吉山 繁幸 先生

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先生が目指すSDGs

メッセージ

医師は社会のニーズに応える仕事であり、医療の現場では自分のやりたいことだけをやるのではなく、チームの一員として患者さんのために働ける医師が求められます。大学でもチーム医療や地域医療に必要なことを学びます。医師をめざすなら、世の中の出来事に目を向けるなど「社会的な視点」を持つことがとても大切です。私が医学生だった頃と違い、今は早期からさまざまな実習やグループワークの機会があります。学生が主体的に学べる環境になってきているので、モチベーションを高くもって学べると思います。

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三重大学は、5学部を擁する総合大学です。教育・研究の実績と伝統を踏まえ、「人類福祉の増進」「自然の中での人類の共生」「地域社会の発展」に貢献できる「人材の育成と研究の創成」を目指し、学術文化の受発信拠点となるべく、切磋琢磨しています。