車いすで高速ターンするには? 三次元解析で選手の動きを解明

車いすで高速ターンするには? 三次元解析で選手の動きを解明

車いす競技の見どころはチェアワーク

パラスポーツには、陸上、バスケ、テニス、ラグビーなどさまざまな車いす競技があります。車いす競技の見どころは、選手たちが車いすを巧みに操作する「チェアワーク」です。国民栄誉賞を受賞した車いすテニスの国枝慎吾氏も、高速のチェアワークが最大の武器だといわれていました。健常者の選手がフットワークの練習をするように、パラ選手もチェアワークのトレーニングを日々行っています。

体幹も使い、車いすでコートを駆け回るテニス選手

車いすテニスでは、選手は片手にラケットを持ちながら、両手で車いすを操作してコート内を縦横無尽に駆け回ります。このため、選手は手や腕の力だけでなく、体幹も使って車いすの動きをコントロールしています。車いすは真横への移動ができないので、特にすばやいターンは重要です。
そこで、モーションキャプチャによる三次元動作解析で、ターンをするときの選手の体の動きを調べる研究が行われています。どのように体を動かせばすばやくターンできるのか、そのためにどの筋肉を鍛えればよいかなどを見いだし、選手のパフォーマンス向上を支援することが目的です。

パラアスリートを支える理学療法士

アスリートの三次元動作解析は広く行われています。集めたデータは、スポーツ障害やけがの予防にも生かされています。パラスポーツはまだ研究の数が少なく、これから多くの研究が行われてデータが増えていくことが期待されています。
パラアスリートの研究活動やサポート活動を行うには、病気や障害について多くの知識・経験が求められます。パラアスリートは一人ひとりが異なる病気や障害を抱えながら、使える機能をフルに使ってプレーしているからです。医学やスポーツ科学・運動学の知識をもつ理学療法士は、パラスポーツの分野で活躍できる専門職の一つです。競技団体のアスレティックトレーナーとして、選手のサポート活動を行う理学療法士も増えています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

熊本保健科学大学 保健科学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 准教授 久保下 亮 先生

熊本保健科学大学 保健科学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 准教授 久保下 亮 先生

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理学療法学、スポーツ科学

メッセージ

私は日本車いすテニス協会の公認トレーナーとして選手のサポート活動を行っています。代表合宿や国際大会に帯同し、東京2020パラリンピックではトレーナーブースの責任者として携わりました。大変なことも多いですが、ほかでは得られない大きなやりがいがあります。本学の理学療法専攻にはスポーツリハビリテーションコースがあり、私のほかにもトレーナー活動を行う理学療法士の教員がいて、現場での経験をたくさん授業で伝えています。理学療法士・トレーナーがどんなふうに選手を支援しているのか、共に経験していきましょう!

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熊本保健科学大学では、医学検査、看護、リハビリテーションの3つの学科で最先端の専門知識と技術を修得するとともに、学科間の連携によりチームスタッフにふさわしい知性と教養を身に付けます。また、医療の多様化と変化に対応しながら、患者さんのQOL(Quality of Life:生活と人生の質)にも配慮できる優れた医療人を目指します。