コンピュータで授業をもっと楽しく! 特別支援学校の教材開発

コンピュータで楽しさを創造
コンピュータを用いて、人に新たな価値や体験を提供できます。より多くの人に楽しさを感じてもらうためにも、場面や個人に適したデバイスとシステムが研究されています。例えば特別支援学校の教材にコンピュータを組み合わせて、生徒の力を引き出す試みです。
ボッチャに使う道具作り
特別支援学校では、体育の授業でボッチャをすることがあります。カーリングのように、ターゲットにいかにボールを近づけられるかを競うスポーツです。体力や手の機能が低下して投球が困難な生徒は、ランプと呼ばれる補助具を使います。滑り台のように傾斜がついた道具でボールを転がしてターゲットを狙うのです。通常は介助者に指示をしてランプの向きなどを調整しますが、意思がうまく伝わらないと競技を楽しめません。もし自分の選択や決定でランプを動かして投球できれば、生徒は楽しみやすくなり、介助者の負担も減ります。そこで遠隔操作ができるランプとシステムが開発されました。操作方法は複数用意されており、ハンディキャップの種類や程度に合わせてタブレット画面上のボタンや、ゲームのコントローラーのような機械でランプを動かします。実験の結果、より多くの生徒が主体的に授業に参加して、活動に夢中になる様子が見られました。
身近な材料を活用する
高性能なランプ教材もありますが、壊れたら現場では修理ができず使えなくなるものや、設定が複雑で高価なため導入を断念するものが多くあります。生徒や教員をサポートし続けるためにも、調達しやすい材料や、簡単に修理できるシンプルな構造が求められます。前述のボッチャのランプは、ほとんどがホームセンターで買える材料でできています。本体は雨どいをカメラ用の三脚で支える構造で、両者を3Dプリンターで出力したジョイントでつなぎます。教員が自力で管理できる材料で構成しているため、ジョイントの設計図や操作システムを提供すれば全国で導入が可能です。ほかにもコンピュータを利用して楽しい体験を提供しようと、研究が続いています。
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湘南工科大学情報学部 情報学科 情報メディア専攻 教授中茂 睦裕 先生
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