パラリンピックをきっかけに、みんなが生きやすい世界へ

パラリンピックをきっかけに、みんなが生きやすい世界へ

パラリンピックの役割

近年は国の法律や制度の改善によって、障害者を取り巻く環境は良い方向に変化してきています。2021年夏に開催された東京オリンピック・パラリンピックの、パラリンピックでの日本のメダル第1号となった選手は、選手団の中でも障害の重い中学生水泳選手でした。多くの国民は力強く泳ぐ姿から、工夫次第で誰でもスポーツができるんだ、人間は障害をも乗り越えることができる強い存在なのだと勇気をもらったことでしょう。障害者への関心を高めて、ポジティブな見方に変えるきっかけとなるパラリンピックの役割は、やはり大きいのだと気づかされます。

パラリンピックのレガシー

東京オリンピック・パラリンピックの招致が決まった翌年、2014年から2千人を対象に、主にパラリンピックについての意識調査が行われました。例えば「ボッチャ」というスポーツは、当初はたった1.9%の人しか知りませんでした。ところがオリンピックの年には46.2%と、約半分の人が「知っている」と回答しました。ボッチャをはじめ、ゴールボールやパラバドミントンなど一般の人の認知が高くなった理由には、報道の頻度や獲得メダル数、また人気選手の存在などがあります。まだまだ興味関心のない人も大勢いますが、そういう人が少しでも知ることによって生まれる障害者への意識の変化は、まさにパラリンピックの無形のレガシーと言えるでしょう。

障害者への意識が変わると、変わるもの

バリアフリーが充実した国立競技場の誕生は、目に見える有形のレガシーです。国内ではほかにもバリアフリーが整った施設が確実に増えていますし、都市部を中心にホームドアが設置された駅も増えて、視覚障害者の事故を未然に防いでいます。障害者に対する意識や関心の高まりは、障害者スポーツの指導者も育てます。その技量は一般の子どもやシニア、また運動の苦手な人へ、スポーツの魅力をわかりやすく伝えることに役立つでしょう。障害者への意識変化は、多様な私たちが生きやすい社会につながるのです。

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日本福祉大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科 教授 藤田 紀昭 先生

日本福祉大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科 教授 藤田 紀昭 先生

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スポーツ科学、障害者スポーツ学

メッセージ

失敗ほど良い経験はありません。少しでも興味のあることにたくさんチャレンジして、たくさん失敗してください。勉強やアルバイト、友人関係などなんでも構いません。それは経験としてあなたの中に蓄積され、将来必ずあなたの役に立ちます。そして、多くの人との対話や会話もおすすめします。あなたと正反対のことを正しいと考える人はたくさんいますが、大切なのはそれを頭ごなしに否定しないことです。「いろいろな考え方があるな」と、新しい価値観との出会いを楽しんで、自身の考えを深めるきっかけにしましょう。

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