一人一人の特性にあったコーチングで運動能力をアップ!
「個別性」に着目した効果的なコーチング
100m走を速く走るにはどうすればいいでしょうか。例えば、100m走を専門とするスプリンターの中には高身長で歩幅が大きい人、身長はあまり高くないが足の回転が速い人というように、走り方には違いがあります。そのため選手それぞれの特性に着目して、その特性を踏まえた走り方をコーチングすることが大切です。
学生スプリンターのタイプごとに走り方を解析
大学生以降でタイムを伸ばすためにはスポーツ科学に基づいたトレーニングが必要です。そこで100m走の走り方の解析が行われています。一定以上のレベルに達している学生スプリンターたちの100m走レースをハイスピードカメラで撮影し、その映像データから歩幅の大きいストライド型の選手と高回転のピッチ型の選手に分類します。つぎに、それぞれのタイプの中で速い選手と遅い選手に分けて、トップスピードを高めるために重要な最初の30メートルの走り方について、1歩ごとのピッチとストライドを丹念に調べます。そうして速い選手の走り方の特徴を探り、指導する選手のタイプに合わせたコーチングへの還元をめざします。
子どもの方向転換走能力を伸ばすには
子どもの運動能力の発達は個人差があるため、その子どもの発育状況を個別に把握した上での指導が理想的です。そこで、サッカーなどの球技に必要な方向転換走能力が、発育過程でどのように変化していくのかが研究されています。研究では、身長の伸びが最も大きい時期である小学校4年生から6年生の児童について、方向転換走能力のテストのほか、20m走や垂直跳び、身長体重の測定データを子どもの成長に従って比較します。その結果、身長の伸びが大きい時期は走る能力も大きく向上する反面、運動の勢いが増えるために、減速してから走る方向を素早く転換するのが難しくなることがわかりました。これらのデータを子どもの発育に合わせた指導に生かすとともに、保護者にも共有して、子どもの運動能力への理解を高める取り組みが進められています。
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先生情報 / 大学情報
福井工業大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 教授 内藤 景 先生
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