ティラノサウルスの祖先はアジアにいた! 化石から環境を探る
ティラノサウルスの祖先は?
ティラノサウルスやトリケラトプスのなかまは、アジアで出現した恐竜です。ティラノサウルスたちの祖先が、約1億2000万年前の日本にもいたかもしれません。この時代は、地質学では前期白亜紀に分類されています。前期白亜紀の環境や、その時代に生きていたとされる草食恐竜「イグアノドン類」の進化や生息範囲などを解明しようと、化石の発掘を中心とした研究が行われています。
福井県で発見された2種類の恐竜
福井県にある前期白亜紀の地層からは、さまざまなイグアノドン類の化石が発掘されており、新種も発見されました。その一種であるフクイサウルスは、独特な形の上顎(うわあご)を持っています。同じ時代の新種として福井県で発見されたイグアノドン類のコシサウルスと比べても、形がまったく異なっているのです。特徴の違うイグアノドン類の化石が複数見つかったことから、前期白亜紀の福井県には、草食恐竜たちが生息するのに有利な環境が整っていた可能性が出てきました。ただし、なぜ異なる特徴を持った恐竜が同じ時代の福井県で共存できたのか、どのような植物を食べていたのかといった詳細はまだ調査中です。さらに研究が進めば、前期白亜紀における福井県ならではの環境がわかるかもしれません。
化石が眠る場所は不明?
福井県内はもちろん、ほかの地域や国にも新しい発掘現場が見つかると、新種の化石が発見される可能性が高くなります。すでに見つかっている種類の恐竜だとしても、同じ種類が別の地域にも進出していたことがわかるなど、新たな知見が得られます。ただし地球のどこに恐竜の化石が埋まっているのかは、実際に地層を掘らなければわかりません。地質学者の研究成果によって「この地域には恐竜時代の地層がある」ということだけは解明されていますが、本当に化石が埋まっているのかまでは推測できないのです。そのため調査地を注意深く歩いて化石の手がかりを見つけ、その周囲を掘り返す、という地道な調査が続けられています。
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先生情報 / 大学情報
福井県立大学 恐竜学部 ※2025年4月開設 教授 柴田 正輝 先生
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