電池推進船に自動運転! 次世代水上交通システムが熱い!
陸上より難しい水上での自動運転に挑む
車の自動運転は実用化に向けた取り組みが加速していますが、船舶の分野でも海外では無人貨物船の開発などが始まっています。船舶の場合は水の流れや風の影響を受けやすく、車より自動制御が困難です。また技術的に自動運転が可能になっても、無人のタンカーは海賊のターゲットになりやすい、洋上で緊急事態が起きるとほかから助けを得ることが困難といった問題もあります。そのため完全な無人化を図るのではなく運航要員の労力を減らしたり、誤操作防止など安全面の充実を図ったりすることに重点を置いて自動運転技術の開発が進められています。
環境に優しい電池推進船を観光に活用
また、船舶における排ガス対策は十分に行われていないのが現状です。そこで航行中に排気ガスを出さず、急速充電した電池で推進する船に注目が集まっています。電池推進船は環境に優しいだけでなく、音も静かで排気ガスの臭いがしません。観光用のグラスボートなどですでに実用化され、魚を脅かさず鑑賞するのに優れています。ほかにも屋形船など船内で食事をする際にも音や臭いがしない、という点ではメリットが大きいでしょう。バッテリーやモーター、充電のための設備などは電気自動車で使われている製品を利用し、開発コストを抑える工夫もされています。
水上交通の真価が問われる防災面でのメリット
川と水路が張り巡らされた東京は、オリンピックに向けてますます水上交通の発展が期待されています。一方で船舶は緊急時、陸路が遮断されたときの交通手段や非常用電源としての役割が期待され、遠隔操縦を可能にする管制システムの技術開発も進んでいます。
実際には接岸できる岸壁が限られているうえ、狭くて入っていけない水路もたくさんあり、防災対策につながる環境整備が求められているところです。これらの課題を解決しながら日常的に水上バスなどで運用を続け、いざというときには人命を助ける船になるような研究開発が行われているのです。
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東京海洋大学 海洋工学部 海洋電子機械工学科 教授 清水 悦郎 先生
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