データを使って大学をより良く! IRがもつ意義
大学の意思決定をデータでサポート
大学生の学びを充実させたり、希望進路へ進みやすくしたりするために、大学は日々教育や学生サポートのあり方を考えて、改善しています。どんな教育・サポートをするのかという意思決定を行う上では、大学運営に携わる人たちの認識を摺り合わせ、偏りの少ない正確な情報も参照しながら意思決定を行うことが重要です。より合理的な判断・意思決定を実現するためには、より客観的に測定した数字や学生へのアンケート調査で集めた回答などを分析し検証するといった、データ活用を行うことが重要です。
インスティテューショナル・リサーチ
大学や短期大学、高等専門学校、専修学校といった高等教育機関において、その意志決定や改善活動にデータを役立てる活動や研究を「インスティテューショナル・リサーチ(IR)」といいます。一般的なIRの活動では「活動と環境」「アウトプット」「インプット」をデータ化して、それぞれの関連を分析します。例えば学生が履修した科目や出席状況、キャンパス内外での活動、施設といった「活動と環境」が、どのようなGPA(Grade Point Average=成績を数値化したもの)や、知識・能力の修得、進路といった「アウトプット」に結びついているのかを、基礎学力や入学前の経験、キャリア意識といった「インプット」も踏まえながら考えていきます。
数で事象を捉える
日本でIRが政策の場に初めて登場したのは2008年のことであり、非常に新しい研究分野です。日本の高等教育にIRが根付くかどうかは未知数の部分もあります。ただし、大学をはじめ、高等教育機関への進学率が80%を超えた現在、それらの意思決定がより合理的になることは、多くの若者にとってプラスに働くことは間違いありません。こうしたメリットを社会にもたらすことが期待される一方で、「学びの効果」という捉えどころのない事象に対して、数(データ)をもとにアプローチするというユニークさ、奥深さを備えている点も、IRの大きな特徴です。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。