あなたの志望大学の経営は大丈夫ですか? 高等教育政策の研究とは
大学の認証評価制度
志望大学の検討には、教育の特色や施設だけでなく、大学の経営状況や方針も重要な要素です。日本では、2004年度から全ての大学、短期大学、高等専門学校に対して、文部科学大臣が認証する評価機関の評価を受ける認証評価制度が義務付けられました。これはアメリカの「アクレディテーション」という制度を参考に、「教育」「研究」「社会貢献」といった諸活動を評価する仕組みです。評価には、入学試験や在学中の成績、就職満足度といった学生に関するデータや、教員の論文や著書に関するデータ、また公開講座をはじめとする地域活動に関するデータなど、さまざまなデータが用いられます。
データを活用した評価や分析
大学の評価制度では、大学が計画を策定し、更にそれらを一定期間に区切った中期計画として総括して報告することが定められています。計画の達成度合いを正確に掴むためには、データの活用が欠かせません。また、データによって教員の研究の成果が明らかになることで、学内の人事評価を適切に行うこともできます。更には、1年次生1学期の出席日数や成績をデータ化することで、学生の早期退学・休学への早期対応がしやすくなるといった点もデータを活用するメリットです。
高等教育政策の研究
高等教育の諸活動全般について研究する学問を「高等教育政策」といいます。このなかには評価制度も含まれており、統計に関するさまざまな手法を用いて、大学の教育研究や経営についての評価を行います。日本の大学の経営は、長く政府から保護されていましたが、自立した経営が強く求められるようになりました。認証評価制度ができた後も経営においてリーダーシップを発揮できず、経営破綻に陥る例も見られます。また、少子化による学生数の減少は今後も進むことから、他大学との比較を含め経営について的確に判断するためのノウハウや指標はより重要性を増しています。多種多様なデータを分析することで、大学のもつ力や課題を客観的に明らかにする高等教育政策研究への期待は、今後もますます大きくなるといえるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
高知大学 教育学部 人文社会科学系 教授 岩崎 保道 先生
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