持続可能な大学キャンパスをつくるには
サステイナブル・キャンパスとその計画とは?
大学のキャンパスは、単に広い敷地に校舎を並べることだけを考えてつくればいいというものではありません。国内外の多くの大学では、それぞれの思想と、100年から200年先までを見通したサステイナビリティ(持続可能性)を考慮したキャンパス計画が立案されています。では、サステイナブル・キャンパスとは、どのようなものなのでしょうか。長期間にわたりキャンパスに蓄積されたてきた空間資源をどのように再編集し、これから将来に向けた大学の活動に寄与する構成を考えるのが、サステイナブルキャンパスの計画です。
サクシュコトニ川の再生計画
札幌市都心に立地するキャンパス内には、サクシュコトニ川という小河川がありました。かつては、先住民族の人々が、川を遡上(そじょう)するサケを取りながら暮らしていました。1950年代に周辺の都市化の影響で水源が枯渇し、川は干上がってしまいました。その後、2000年代に入り、札幌市と大学との間で、川の再生計画が立案されます。札幌市には、河川の水質汚染問題を改善するために、流量を増加させたいという目的があり、大学には、川を復活させ、キャンパス内の植生や生態系を再生するという計画がありました。そこで、川の新たな水源に、市内の浄水場から余剰水を導水し、2004年にサクシュコトニ川は復活を果たしました。大学では現在も、再生された川の生態系の調査や環境の改善などの取り組みが続けられています。
地域社会との関わりの大切さ
SDGs(持続可能な開発目標)を視野に入れ、キャンパスを持続可能なものにするには、周辺の地域社会のサステイナビリティについても考えなければなりません。地域社会の安全性や利便性が崩れるようだと、大学も存続できなくなってしまうからです。そのために大学は、人材を集めて知恵を使いながら地域社会の質とサステイナビリティを向上させ、長い歳月を経ても保ち続けられる社会の枠組みを先導するキャンパス計画を考えていく必要があるのです。
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先生情報 / 大学情報
北海道大学 工学部 工学研究院 建築都市部門 空間デザイン 准教授 小篠 隆生 先生
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