ドローンに乗って飛ぶ感覚? 身体と心に作用する「ハプティクス」

ドローンに乗って飛ぶ感覚? 身体と心に作用する「ハプティクス」

ハプティクスとは?

「ハプティクス」は運動と感覚に関係する学問です。触覚を再現する技術として紹介されることもありますが、これはごく一部の側面です。より広いテーマを扱っており、例えば「ドローンの上に乗って移動しているかのような飛行感」といった、人間がまだ味わったことのない感覚を本物らしく再現する研究が行われています。その感覚を演出するために効果的な要素を突き止めて、必要なデバイスを作成するのです。

リアルな飛行感を再現!

ドローンカメラの映像をVRゴーグルで見せるだけでは、リアルな飛行感を味わわせることはできません。分析の結果明らかになった効果的な要素が、身体の傾き、足元からの振動、プロペラの音、風です。そこで、立った状態で身体を傾けるとその方向にドローンが動くようなコントローラーが作られました。足場も体重がかかっている方向に傾くため、ドローンと一体になって動くような感覚が味わえます。また、足元を小刻みに震わせて、プロペラの振動も再現されました。さらに前方にファンを置いて風を送り、操縦中はプロペラの音を発生させます。このように身体に与える運動や刺激を調整すれば、より強い飛行感を得られることがわかってきました。この技術をドローンレースのようなeスポーツに導入すれば、競技がさらに盛り上がると期待されています。

感情を増幅させるハプティクス

身体と感覚の関係を応用して感情に訴えかける「エモーショナル・ハプティクス」の研究も始まっています。例えばホラー映画を見ている人に怖いシーンで振動を与えると、より強い恐怖を感じさせることが可能です。特に心臓など上半身の内臓に刺激を与えると、恐怖や興奮といった一時的な感情が強まることが研究で明らかになりました。この仕組みを応用すればゲームやメタバースなど、非現実の空間で体験するコンテンツでもさらなる感動が得られるかもしれません。各コンテンツで最適な刺激を与えるためにはどのようなデバイスが必要か、研究が続いています。

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東京都立大学 システムデザイン学部 情報科学科 准教授 岡本 正吾 先生

東京都立大学 システムデザイン学部 情報科学科 准教授 岡本 正吾 先生

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メッセージ

将来やりたいことを深掘りし、そのために必要な学びは何かを考えることが進路選びの第一歩だと思います。何を学びたいか、休み時間に友だちと話してみてもいいでしょう。そのときは、どこの大学に行きたいかではなく、どの学科に行きたいかを話題にしましょう。例えば友だちが「機械工学科を受けたい」と言った場合、なぜその分野を選んだのか、将来何がしたいのかなど興味が湧いてくるでしょう。こうした会話から進路について深掘りしていけば、あなた自身の関心や将来のキャリアも見えてくると思います。

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