恐竜はどんな生き物だったのか? ゲノム解析で謎を解く!
滅亡した生物の情報にもアプローチできる
過去に存在した生き物について調べるには、発掘された化石からしかアプローチできないわけではありません。鍵を握っているのは、生物の設計図である「ゲノム」です。例えば恐竜のゲノムを直接調べられなくても、恐竜の子孫と考えられている生物種のゲノムから恐竜がどのような遺伝子を持っていたのか、高い確率で推定できるようになってきました。生命の誕生以来、途切れることなく伝え続けられてきたゲノムを解析すれば、ゲノムの変化によって生物がどのように進化を遂げてきたのかを垣間見ることができます。
生物学+情報学=バイオインフォマティクス
ゲノムの遺伝情報は、構成するDNAのA(アデニン)、 T(チミン)、 C(シトシン)、 G(グアニン)という4種類の塩基の並び順(塩基配列)によって決まります。塩基配列が、生物の進化過程でどう変わってきたのかを解析することを分子系統解析と呼びます。大量の配列データの解析が可能になった現代では、その解析方法の理論的研究も重要で、また解析のためのコンピュータソフトウェアの開発も盛んです。このようにバイオ(生物学)とインフォマティクス(情報学)を合わせた研究分野を「バイオインフォマティクス」と呼びます。現代の生命科学にはなくてはならない重要な分野です。
エンドレスな研究だから夢がある!
系統樹を推定して生命システムの進化を解析することは、新たに生じた病気の原因となっているウイルスや病原菌がどのように発生したかを調べるときにも役立ちます。大量のゲノム情報をどう解析し、生命システムの進化を系統樹として表現していくかは、世界中で研究者たちが取り組んでいる大きな課題です。これは、膨大なデータ処理の精度と計算効率を高め、いかに正しい情報を引き出すかというエンドレスな研究です。
従来は生物学と情報学それぞれのエキスパートが共同して取り組んできましたが、これからは両学問を融合させたバイオインフォマティクスを最初から専門に志すことが必要になるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 理学部 生命科学科 教授 田村 浩一郎 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
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