年輪から木の成長メカニズムを読み解き、気候変動に備えよ!

年輪から木の成長メカニズムを読み解き、気候変動に備えよ!

温暖化で樹木の成長はどうなる?

地球では、温暖化に伴う気候変動が進むと考えられています。低炭素社会を実現する資源としての森林を守り管理していくには、この気候変動が樹木の成長に及ぼす影響を予測する必要があります。そこで、年輪に着目し、木の成長に影響を与える気候の要因や、成長のメカニズムを明らかにする研究が行われています。年輪にはその木の成長過程が記録されているため、実際の樹木を長期に渡って観察しなくても、年輪を読み解けば100年分もの情報を得られます。

年輪と気象データから成長制御要因を探る

研究ではまず森林でのフィールドワークを行います。木の幹に手回しのドリルで直径5mmほどの穴を木の中心まで開けて、地質調査のボーリングのように年輪のサンプルを採取します。30~40本ほど集めた木の年輪のサンプルを実験室で分析し、その地域の過去100年の気象データと年輪の幅などを照らし合わせて、季節ごとの気温や降雨量など、木の成長を制御している要因を探ります。1年でも数え間違えれば気象データとの関係がずれてしまうので、分析には注意が必要です。年輪の幅は狭いものでは0.1mm程度しかないため、顕微鏡を使って観察します。

木の成長にとって温暖化が悪とは限らない

気候が木の成長に与える影響は、樹種や場所によって大きく違っていることがわかってきました。例えば冷涼地に生息するスギは、冬の気温が高いことで光合成量が増えてよく成長し、温暖化はプラスに働くと考えられます。永久凍土地帯では、シベリアでは春の気温の上昇が木の成長を促進するのに対し、アラスカでは抑制に働くことが示唆されています。また、安定同位体を使った光合成産物の追跡実験から、年輪の形成をはじめとする樹体内への配分が季節によって大きく変わることがわかってきました。
これらの研究結果をもとに、将来的には気候変動に伴う木の成長を予測するモデルを作り、森林資源の保全や林業の発展に役立てることが目標とされています。

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信州大学 農学部 農学生命科学科 森林・環境共生学コース 准教授 安江 恒 先生

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