「考えたくなる」課題で、実感・納得を生むカリキュラムを実現する
育みたい学力を捉える評価課題
膨大な知識を暗記できることは、子どもたちの人生をよりよいものへと導くのでしょうか。2000年以降に実施されている「OECD生徒の学習到達度調査」において、知識を現実の文脈で使う問題が出題され、日本でも学習指導要領に「思考・判断・表現」という観点が追加されました。どのような評価課題を使って子どもたちに育(はぐく)みたい学力を捉えるのか、対応が求められています。
手を動かし考える、言葉を使って表現する
算数科の教科書では、分数は「同じ大きさに分けた2つのうち1つ分を、もとの大きさの2分の1という」と説明されます。ではこの説明を暗記できたとき、目の前の形を3分の1に分けたり、それが3分の1であるかを説明できるでしょうか。例えば「1/4パズル」という評価課題では、子どもたちは折り紙を切り折りするうちに、形は異なっても4分の1となることを直感的に理解できました。さらにそれが4分の1であると相手が納得できる言葉を考えることで、分数の理解を深めていきました。
何のために学習するのか?
子どもたちが思考・判断・表現したことを評価するために、続々と評価課題が考案されています。例えば「本の帯を作る」課題は、本の中身を知り、見る人が読みたくなる言葉を選び、手に取りたくなるデザインで作成する必要があり、国語科や図画工作科の学習の成果として位置づけられます。しかしながら、なぜ本の帯を作るかと言えば、本を読んでもらいたいからです。子どもが作った本の帯を学校の図書室に導入し、導入前後の貸し出し数を調べれば、帯の成果に気づくでしょう。もし貸し出し数が増えていればそれだけ子どもたちが本を読もうとしていることを意味します。自分たちの学習が、自分たちの学校をよりよいものへと変えていくと捉えることができたなら、何のために知識が必要であり、何のために学習するのかを実感・納得することにつながるでしょう。どうすれば学習がつながり、子どもの実感・納得を生むカリキュラムとなるのか、研究が続いています。
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