ベテラン保育者の実践知から学ぶ「子どもを見守る保育」とは?
子どもたちを見守る教育とは?
幼少期は人が発達・成長する重要な時期であり、保育者の役割はますます大切になっています。そこで、保育者のレベルアップには、経験豊かな保育者たちが現場で培ってきた「実践知」を学ぶことが有効です。例えば、現場ではよく「子どもを見守ることが大切」と言われますが、どう見守ればいいのでしょうか?
見守るとは、監視や静観、放任とも違い、関与の仕方も違ってきます。「見守ること」ひとつとっても、保育者や園によって異なります。その価値観の差異が、保育の違いにもなっています。
介入することと見守ることの違い
ある保育者は、子どもが取っ組み合いのけんかをしていたら、「のこった、のこった」と相撲の行司のように声をかけ、遊びにしてしまいます。また、ある時は子どもたちから話を聞き、「誰が何をどうしたか」を整理して解決に導くこともあります。これらは、子どもたちを見守りつつも、関与して介入する手法です。
一方、ある保育者は場合に応じて、子どもたちを40分以上も見守ります。子どもたちが自分の意見を言い、話し合って解決するまで待つのです。ここには、介入せずに関与する姿勢があり、子どもたちの思いや時間、主体性を大切にする意図があります。いずれも良い悪いではなく、教育方針や実践知の表れなのです。
見守る時間がチャレンジする時間
実は見守る教育は、日本独特のスタイルです。アメリカや中国などでは、時間をかけて見守ることはしません。子どもの「できた!」という達成感を育てるために、保育者たちが下準備しているケースが多いのです。
それに対して日本では、保育園や幼稚園にもよりますが、「話し合って解決する」のが教育のベースとしてあります。「見守る時間」が、子どもたちがチャレンジするチャンスの時間となるのです。多くの保育者は、実践知でどうするべきかを知っています。これを理論として確立することが、新人保育者の育成のためにも必要です。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
名古屋市立大学 人文社会学部 心理教育学科 准教授 上田 敏丈 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
保育学、幼児教育学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?