ロボットの「インタラクションデザイン」で人の気持ちにアプローチ!
「高機能」だけでは使えない
スマートフォンやタブレットなど、デジタル機器を使わない日はありません。最先端技術で人間の生活は無限に便利になるように思えます。しかし、そうした機器の開発には「使いやすさ」という視点が大切です。使用に努力や我慢が必要だと普及しにくく、また、長期的に使ってもらうことも難しくなります。どうしたら人が使いやすくなるか、またどうしたら人が楽しく使い続けることができるかを考える研究分野を「インタラクションデザイン」と言います。
物語を考えながら企画する
インタラクションデザインでの製品開発プロセスは、入念な調査が特徴です。使う人にインタビューしたり、使う場所に行って調査したりしながらニーズをつかんでコンセプトを企画します。そこでは「誰がどういうシチュエーションで使うか」というストーリーを考えます。その後、ニーズを満たすために使える技術を調べて、設計し、試作品を作って実験します。
インタラクションデザインは、アプリの画面や機器のボタンの配置といった「使いやすさ」はもちろん、使う人がどのような「感情」を抱くかといった心理的な面まで考慮します。
ロボットが人の気持ちや行動を変えるきっかけに
人の心や行動の変化を促すインタラクションデザインとして、「弱いロボット」という概念があります。例えば、人ごみで目の不自由な人を誘導するAIロボットが屈強な形をしていたら、周りの人は驚いたり、「怖い」と感じたりします。誘導される人も、その雰囲気を感じて居心地が悪くなります。
そこで、ロボットを小さくかわいらしい姿で、少しぎこちない動きをするようなデザインが施されました。すると、それを見た人が「近くに助けるべき人がいる」と気づいて、ロボットの姿にほのぼのした気持ちになり、「助けたい」と思うようなものになりました。こうした、人の感情を動かす形のデザインには、人間工学の知識が使われているのです。
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