「色」を変えれば、新しい未来が広がる

「色」を変えれば、新しい未来が広がる

色の違いは、波長の違い

「色」とはそもそも何でしょうか? イチゴは赤く、サッカー日本代表のユニフォームは青く見えます。あなたもプリズムを通過した光が色別に分かれている様子を見たことがあるかもしれません。私たちは、光の波長の違いによって、さまざまな色を感じることができます。青は赤に比べて波長が短くなっています。波長は短い方が、そのエネルギーが高く、そのため青は赤より高いエネルギーを持つ光です。蛍光体と呼ばれるある種の物質は、この色を変える働きをします。例えば、青い光を赤や緑に変換することができますが、これは蛍光体によって、光の波長が変換されているのです。光の波長が変えられると、どのようなよいことがあるのでしょうか。

太陽光発電の発電効率を上げよう

太陽光発電では光のエネルギーを電気エネルギーに変換します。しかし、どのような波長の光でも電気に変えられるわけではありません。そこで蛍光体の出番です。太陽光に含まれる直接電気に変えられない波長の光を、蛍光体を使って波長を変えてあげるのです。そうすれば、これまで電気に変えられなかった光も直接電気エネルギーに変えられることになり、太陽光発電の効率を上げることが可能になるのです。

未来の医療にも光に期待が集まる

医療の分野でも光は注目されています。ある種の薬は、体の中に取り込まれたあと、体の外から光を当てると元気よく働いてくれます。このとき必要な光は、波長が短く高いエネルギーの紫外線などです。しかし紫外線は日焼けの原因になることでもわかるように、皮膚が損傷を受ける危険性がある上、体の奥までは届きにくいものです。一方、波長の長い赤外線は、エネルギーは低いですが、体の奥まで入りやすい性質を持っています。ここでまた蛍光体の出番です。赤外線などのエネルギーの低い光を体の外から当て、体内の薬のすぐそばで光の波長を変換してエネルギーの高い光に変えれば薬を元気よく働かせることができるようになります。これは光医療と呼ばれ、未来の治療方法として期待されています。

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神戸大学 海事科学部 マリンエンジニアリング学科 教授 佐俣 博章 先生

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高校時代、勉強はもちろん大切なのですが、それだけではなく、スポーツや読書にも全力で打ち込んでください。大学の研究室に入って楽しく研究していくためには、「失敗を失敗で終わらせない粘り」や「想定外のことが起こっている事実を見逃さない集中力」などが重要になります。これらの能力は、好奇心旺盛な生活を送ることで培われると思います。ぜひ充実した高校生活を送ってください。将来、神戸大学海事科学部で、一緒に研究できることを楽しみにしています。

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