日本人にこそ必要なスキル! さまざまな目線で考える思考法
物事をさまざまな目線で見つめ考える
主に先進国で取り入れられている「クリティカルシンキング」という考え方があります。日本語に訳すと「批判的思考」「複眼的思考」といい、物事をひとつの目線ではなく、さまざまな目線で見つめ考える思考方法を意味します。物事に対して「なぜ?」と考える思考力は、社会に出た際に自立して生きていく上でとても重要です。海外では、早い国では中学生のころから授業で取り入れられていますが、日本ではまだまだ知名度が低いままです。2018年にOECDが46カ国の中学教員を対象に行った「クリティカルシンキングに関連した授業をどの程度行っているか」という調査では、なんと日本は最下位でした。
災害の際の情報の受け取り方
クリティカルシンキングは高度な技術や思考法ととらえられがちですが、そうではありません。むしろ、人々の「日常」と密接に結びついています。日本では震災をはじめとして災害が多く起こりますし、世界的に感染症が流行してパニックが起こったこともありました。予測できない事態が起こった際に、新聞やニュースの情報、流布するうわさをそのまま受け入れ納得してしまう人ばかりでは、社会はどんどん悪化していってしまいます。情報を「本当に正しいのか」「これは発信元の思想ではないのか」など、複眼的に考えてみることが求められています。
複眼的に物事を見れば、詐欺も防げる?
クリティカルシンキングを身につけていれば防げる事件もあります。例えば、2000年代前半から多発している「オレオレ詐欺」ですが、こうした犯罪は日本特有のものだとされています。オレオレ詐欺を防止しようと銀行や警察、自治体などが対策に取り組んでいるにもかかわらず、似たような特殊詐欺は後を絶ちません。それは、根本として多くの日本人が目の前に与えられた情報を疑わずに受け取ってしまうことに原因があると考えられます。人が良い国民性とも言えますが、騙されないためにも「なぜ?」「本当か?」と常に考えられる思考法を身につける必要があります。
参考資料
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宮城学院女子大学 教育学部 教育学科 准教授 藤崎 さなえ 先生
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