デジタル技術でアナログな世界を表現する最新人形アニメーション
人形の静止画を撮影して動画にするアニメ
人形アニメーション(以下人形アニメ)は、絵を描くのではなく、人形をはじめとする造形物を1コマごとに動かしながら静止画として撮影し、それをつなげて動画にするアニメーションのことです。もともとは特殊効果の一つとして誕生した映画の撮影技法で、ストップモーション・アニメーションの一種です。
デジタル化で激変した人形アニメ制作
制作工程の緻密さやコスト面などの理由から、日本の人形アニメの多くは教育番組などの限られたところで作られていました。しかしデジタル技術の普及により、人形アニメを作る環境が大きく変わりました。その要因の一つがPCやスマホ、タブレットに対応したコマ撮り専用のアプリやソフトの誕生です。撮影した静止画を瞬時に動画にできたり、人間の動きをコマ撮りの参考にできたりと、それらの新しい機能は人形アニメをより手軽なものにし、表現の可能性を広げています。また3Dプリンターによる人形や造形物の出力など、幅広い分野のデジタル化によって人形アニメへのハードルがぐっと下がりました。極端に言えば、パソコンとソフト、素材とスマートフォンなどの撮影機材があれば、誰でも人形アニメが作れるようになったのです。
あえて人形にこだわる意味は?
「それなら人形ではなく人間の動きをそのまま3DCG化して作ればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし人形を使うという枠の中で独創性をいかに発揮するかが人形アニメの醍醐味(だいごみ)なのです。人間の動きを人形に反映させる時、デジタル技術でただなめらかにするのではなく、あえて動かさなかったり、流れを崩すような動きにすることでキャラクターの心情や緊迫感、雰囲気の違いなどを演出できます。また、人形へのライティングや撮影角度によって喜怒哀楽や思いもよらない効果が表現できるのです。そこが人形アニメのクリエイティブな部分です。デジタル技術の進化によりすべて一人でできるようになったことで、人形アニメは新たなアート分野の一つになってきています。
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