今、必要とされる「知的謙虚さ」 理科の授業で育成できる?
求められている知的謙虚さとは
人はつい知ったかぶりをしたり、自分の考えの間違いを認めたくないと思ったりするものです。そしてそれが生きにくさにつながることもあります。どうすれば自分の考えや間違いを修正できて、他の人の意見を適切に受容できるようになるでしょうか。
このような態度は「知的謙虚さ」と呼ばれています。これは、「ここまでは知っているがこれ以上のことは知らない」といった自分の知的限界を把握しようとしたり、正当な理由があれば、他の意見を受け入れたりしようとする態度のことです。多様で不確実な時代の今、知的謙虚さがあれば、他者の意見を認めることができ、柔軟な対応力や、異なる意見が集まる中で適切に合意形成を行うことができる能力につながります。
理科の授業で養える
知的謙虚さは、小学校の理科の授業で養うことができます。理科の授業では、ある現象に対する仮説を立てて、その仮説を確かめる観察・実験を立案・実行し、仮説を検証していきます。例えばてこの原理では、作用するのはどんな条件か、支点・力点・作用点はどんな関係かなど、子どもたちで話し合い、実験をして意見をまとめていきます。この過程で、他者の仮説を聞いて自分の意見を修正したり、他者の意見をまとめたりすることを通して、知的謙虚さを養うことができます。
人間形成に関わる教育開発
こうした教育には、指導方法の開発も重要です。複数の大学の研究室や現場の教師と連携して検証することも不可欠です。
学校教育の目的のひとつには人間形成があります。特に理科の授業は、観察・実験を通して、工夫次第で子どもたちのさまざまな力を育てることができます。もちろん、理科以外の教科でも、工夫によって知的謙虚さを育成できるでしょう。教育の研究は、どんな人や能力を育てたいかといった、未来のカリキュラムに関わってくるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。