講義No.13841 医療技術

スマホをうまく使えない! 視点の動きから支援方法を考える

スマホをうまく使えない! 視点の動きから支援方法を考える

スマホをうまく使えない?

日常生活のあらゆる場面で、パソコンやスマートフォンなどの電子機器が使われています。しかし電子機器をうまく扱えずに困っている人もいます。例えば脳の損傷が原因で起こる「高次脳機能障害」を抱えている人で、体は動かせても認知機能が正常に働きにくくなる、という症状が見られます。中でも目の前のものや空間をうまく脳内で処理できない「視空間認知障害」を発症すると、スマホなどの電子機器を使いにくくなる可能性が高いのです。

視点の特徴を探る

電子機器を扱いにくい原因が「画面内の情報を認識するときの視点」にあるのではないかと、ゴーグル状のアイカメラを使った計測が実施されました。一般的にスマホを操作するときは、視点が大きく動くことはありません。画面全体を俯瞰(ふかん)して必要な情報を確認し、その方向に少しだけ視点を動かして効率よく見ています。一方で視空間認知障害のある人は、画面内で視点が大きくあちこちに動いていることがわかりました。ある1点のみに目を向けることはできても、その周囲は認知しにくいという特徴も見られます。そのため必要な情報を見つけるまでに何度も視点を動かさなければならず、効率が低下していました。

電子機器の操作を支援

分析結果をもとに、リハビリや作業療法の方法が考えられています。例えば、電子機器のボタンにさまざまな色のシールを貼る方法です。「次は赤いシールのボタンを押す」のように手順を説明した結果、目的の操作にたどり着きやすくなりました。いわゆるガラケーと呼ばれている携帯電話は、物理的なボタンがあったためこうした対応が可能でした。しかし、スマホはボタンの場所がアプリによって変化してしまうので、シールを使った説明ができません。また、画面内の情報量もガラケーに比べてはるかに多いです。そのため患者が必要としている機能を聞き出して、それを見つけやすくなるようにホーム画面上に表示されるアプリの量を減らすなど、効果的な方法が考えられています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

関西医科大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 助教 砂川 耕作 先生

関西医科大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 助教 砂川 耕作 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

作業療法学、アシスティブテクノロジー

メッセージ

視野を広くして、さまざまな物事に興味を持ってほしいです。特に他者の視点に立って考える習慣をつけると、「社会的な脳」が育っていくでしょう。人間は周囲との関係性の中で成長していきますので、他者に興味を持てば、あなたのやりたいこともみつかるはずです。そして、作業療法も人を見て考える学問なので、興味があればぜひ他者に思いを寄せてほしいです。なぜこの人はこういう行動をするのか、と考えるだけでもいいでしょう。そうした視点が、あなたの研究テーマにつながっていくと思います。

関西医科大学に関心を持ったあなたは

関西医科大学は大阪府枚方市に位置し、医学部・看護学部・リハビリテーション学部(理学療法学科、作業療法学科)を有する医療系複合大学です。急性期医療から在宅医療まで揃う附属医療機関を擁する強みを活かし、医療現場の実情に即したチーム医療を学修。3学部合同授業を通して各職種の役割を尊重・理解することで幅広い視野をもつ学生を育成します。
学内には最新の医療現場に対応した演習設備や機器も充実。臨床現場の実践に近い環境下で繰り返し演習することで、確かな技術はもちろん、状況に応じた判断力・対応力を養います。