外国人材の活用も進む介護のグローバル化、どんな問題があるの?
外国人の高齢化も進む日本
国の統計によると、2018年末時点の在留外国人総数は273万人で、そのうち65歳以上の高齢者は6.4%にあたる約17万6000人です。ともに過去最高を記録しました。また、在留期間に制限がない「永住者」や「特別永住者」も現在約190の国籍・地域の109万人おり、彼らも高齢化が進んでいます。日本では急速に高齢化が進んでいますが、外国人の高齢化も進んでいるのです。
言葉だけではない外国人の介護の問題
日本の介護保険制度では、高齢になり、介護が必要だと認められれば、自宅での食事や排せつの介助、福祉施設での食事や入浴、レクリエーションというように、さまざまなサービスを受けることができます。それは、一定の要件を満たした外国人でも同じです。このため近年、介護の現場ではさまざまな問題が目立つようになりました。
その問題は、大きく4つに分けられます。「言葉(言語や識字)」「生活文化の違い」「加齢にともなう母国語および母国文化への回帰」「意思疎通」です。これらが複雑に絡み合って、トラブルになるケースがあります。例えば、デイサービス(通所介護)のレクリエーションで、折り紙やあやとりといった日本の昔遊びをする場合、それを知らない外国人も多いのです。食文化の違いから、施設で出される食事が口に合わないなどの理由で、サービスの利用をやめてしまう人もいます。そもそも介護保険制度についてよく知らず、サービスを利用できずに困っている人もいます。
外国人を介護し外国人に介護される時代に
日本では、介護・看護分野での外国人材の活用を進めています。グローバル化が進み、外国人を介護し、外国人に介護されるというケースは今後もどんどん増えていきます。それにともない、言葉や生活文化の違いに柔軟に対応できる人材の育成はますます重要になります。介護する側もされる側も、お互いの個性を尊重しながら、心地よい生活環境をつくり出していく必要があるのです。
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関西医科大学 看護学部 在宅看護学領域 教授 李 錦純 先生
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