触覚の「錯覚」が面白い~運動と触覚の関係を探る~
針金のハンガーを付けると頭が勝手に曲がる?
私たちの「触覚」は、運動と強い関係を持っています。例えば、針金でできたハンガーを開いて頭に付けると、首が勝手に左右に曲がる、「ハンガー反射」と呼ばれる現象が起こります。なぜ、頭部に少し刺激を与えただけでこのようなことが起こるのか、頭にセンサーを付けて調べたところ、側頭部前方にツボのような場所があって、そこを圧迫することで起こることがわかりました。ほかにも、耳を引っ張られると、引っ張られた力以上に、引っ張られた方向に動いてしまうというようなことがわかっています。こうした発見は、「何の役に立つのだろう」と思ってしまうかもしれませんが、治療が難しい病気の、治療に活用しようという研究が続けられています。
研究者が注目するスマートフォン
ここ数年、触覚の研究者が注目しているのはスマートフォンです。スマートフォンは従来型の携帯電話と比べ高機能ですが、フラットな画面を入力に使うため、文字を打ちにくいという指摘がされています。このため画面に触れた際にボタンを押している感触などを与えられないかといった研究が行われているのです。こうした感触をスマートフォンに組み込むには、薄くて液晶画面が使えるよう透明でなければならないなど難題は多いのですが、完成したら、いま以上にスマートフォンが便利になることは間違いないでしょう。
錯覚を見つけることから研究が始まる
人間の感覚を扱う研究の面白さは「錯覚」にあるといえます。触覚の錯覚である「錯触(さくしょく)」という言葉も最近使われるようになりましたが、多くの錯触はごく最近発見されたものです。触覚の研究は、こうした錯触を見つけることからスタートするといっても過言ではありません。日常生活で不思議に思っていることがあれば、触覚を研究してみるといいかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
電気通信大学 情報理工学域 I類(情報系) メディア情報学プログラム 教授 梶本 裕之 先生
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