経験や勘ではない、「客観的指標」をもとにした意思決定
科学的意思決定
うどんとラーメンを提供している飲食店があります。1日あたりそれぞれ何食分準備すれば、店舗の利益を最大化できるでしょうか。こうしたケースでは経験や勘も重要ですが、そればかりに頼るのではなく、原価や集客実績といった客観的な要素をもとに考える「科学的意思決定」も重要です。もちろん、原料の仕入れ価格やその日の客足など、条件は常に変わるために「正解」を求めることはできませんが、「最適化」、つまり与えられた条件の中で利益を最大化させることは可能です。最適化は、小さな飲食店だけでなく、数十の車種、数万点の部品を管理する大手自動車メーカーの生産においても重要視されています。
階層化分析
自動車を購入する場合、ユーザーによって自動車を選ぶ基準はさまざまであり、その人の中でも整理されていないことがあります。そういう場合は、階層化分析(AHP)という科学的意思決定の手法が有効です。AHPは「階層的に考える」という人間の特性を利用した手法です。まずは「価格」「デザイン」「燃費」といった意思決定に関わる基準を明確にして、それぞれをランク付けした上で、「価格とデザイン」「価格と燃費」そして「デザインと燃費」と、一つずつ比較・数値化することで、自分が求める車種を明らかにできます。またこの手法は、反対にメーカーがユーザーに選ばれる自動車を開発するためにも応用できます。
科学的意思決定手法
企業や店舗の経営において、経験や直感にもとづく意思決定は重要です。しかし、あらゆる産業に大量のデータが使われるようになり、「ビッグデータの時代」ともいわれる現代では、客観的な判断を可能にする科学的意思決定の重要性は増す一方です。さらに、変化の激しいビジネスの世界では、前提となる条件や環境も常に変化しています。コストやマンパワー、その他さまざまな制約が生じる中で、なるべく実用的な選択を行う上でも、「科学的意思決定」や「最適化」といった手法を取り入れる意味は大きいのです。
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