株式投資のリターンはどうやって決まるのか?

株式投資のリターンはどうやって決まるのか?

株式投資とは何か?

株式とは企業の所有権を小分けにした証券のことです。株主になると、その企業が稼いだ利益の一部を配当として受け取ることができますが、その企業が倒産した場合、株式は紙切れ同然になってしまいます。株式投資はその企業のビジネスに賭けるということなので、貯蓄や国債への投資と比べると、リスクの高い投資です。

良い企業の株式が魅力的とは限らない

理論的にいうと、株価はその企業が支払う将来の配当を反映して決まります。例えば、経営が安定しており将来も業績が伸びそうな企業は、将来の配当に対する期待が大きい分だけ現時点の株価も高くなります。
仮に1株あたりの配当が同じ場合、株価が安ければ安いほど、株式投資のリターンは大きくなります。例えば、同じ10万円の配当であっても、投資元本が50万円なのか100万円なのかで投資リターンは二倍も変わってくるからです。この論理からすると、経営が安定しており将来も業績が伸びそうな企業の株式は、投資家にとって必ずしも魅力的とは限りません。なぜなら、そのような企業の株価は最初から高いので、将来の利益を投資元本(現時点の株価)で割った投資リターンは低くなる可能性があるからです。

リスクプレミアムが決め手に

金融経済学の理論によると、株式投資のリターンの決め手はリスクプレミアムです。投資家はリスクの高い資産を嫌う傾向があるので、その分を割り引いて現在の価格を低く評価します。この割引分をリスクプレミアムといいますが、リスクプレミアムの大きな株式は現時点の株価が低い分だけ逆に投資リターンが高くなり、ハイリスク・ハイリターンという関係が成立します。貯蓄や国債への投資などと比べて、株式はリスクの高い投資対象ですが、そのリスクこそがリターンの源泉(リスクプレミアム)になります。このリスクプレミアムの決定要因を理論と実証の両面から追究していくのがアセット・プライシングという学術分野の目的です。

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大阪大学 経済学部 経済・経営学科 准教授 笠原 晃恭 先生

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金融経済学

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メッセージ

「やりたいこと」は実際にやってみないとわからない―行動経済学の研究によると、将来の自分を思い浮かべて、その際に自分自身がどう感じるかを予測するのは意外と難しいことが知られています。高校生の段階で進路に迷っても心配する必要はありません。「先生に勧められた」など、入り口の動機は何でも良いと思います。それよりも、与えられた環境で主体性を発揮し、様々なことを経験してみる姿勢が大切です。あなたの人生にとって、大学生活がそのようなチャンスの場となることを期待しています。

先生への質問

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自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。