機械で読みとる友人関係
友人である確率は?
学生は講義の開始時と終了時に学生証を端末に通すことで、出欠の管理が行われています。この出欠管理システムの打刻時間のデータベースを利用して、学生の友人関係を分析してみました。いくつかのクラスでは事前アンケートをとって、友人関係を教えてもらっていたので、友人であるペアはわかっています。友人同士のペアとそうでない人のペアの打刻時間差をグラフにすると、明確な差が生じました。友人ペアのほうが明らかに近いところで打刻、すなわち二人の時間軸が詰まっているのです。
そこで、あらかじめその関係がわかっていない場合、友人であるかないかをどうすれば推定できるかを考え、打刻データから、友人である確率を導き出す数式を作ってあてはめたところ、7割程度の人たちの関係が当たっていました。
人間関係を線で表す
上記の実験では、友人かどうかがわかりましたが、友人にもいろいろなタイプがいます。いつも後ろからついてくる人や、リーダーシップがある人、レポートを写させる役目の人と写す人などです。今度は友人全体の中でのそれぞれの役割を分析しようという研究を始めました。出欠データだけですべてはわかりませんが、二人の人間がいる時、たまたまAさんが先だったのか、いつもAさんが先なのか、時間の順番は統計的にわかります。それがその二人の友だちとしての人間関係とどういう関連があるのかという研究です。
ただ単に一緒にいると居心地がいいという場合だけでなく、双方の役割が別であったり利害関係があったりするような非対称な人間関係もあります。このような人と人との関係を一つのネットワークとして線でつないで表現した時に、単に線がつながれている人だけではなく、どちらかに矢印が向いている関係や、たくさんの線がつながっている顔の広い人、誰とも線がつながっていない人など、一つの集団の中の関係を表すことができるかもしれません。
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名古屋工業大学 工学部 情報工学科 知能情報分野 教授 犬塚 信博 先生
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