採血の自動化も? 医療におけるモーションキャプチャの有用性
人体の動きを解析する「モーションキャプチャ」
「モーションキャプチャ」とは、人の動作や物の動きを3次元的に解析し、コンピュータに取り込む技術のことを言います。リアリティーの高いサッカーなどのゲームや、CGを使った映画の作成現場では、多くのカメラやスマホに内蔵されているセンサーを使ったモーションキャプチャの技術が活躍しています。このようにスポーツやゲームの世界で利用されている技術ですが、医療装置の開発でも活用されています。
医者、患者さんの助けとなる装置を開発
例えば、救急車用のベッドです。救急車で搬送される際、揺れなどが原因で容体が悪化する場合があります。患者さんが受ける揺れの大きさを解析し、病状の悪化を防止するための開発が進められています。
また、心臓疾患がある人に向けたカロリーメーターの開発にも活用されています。カロリーメーターとは歩数計の進化版をイメージしてください。心臓病の患者さんはある程度の運動が必要になりますが、過度に運動しすぎると悪影響を及ぼすことから、必要な運動量を把握し、管理する必要があります。そこでつま先にセンサーを取り付け、動きや揺れの変化を測定するカロリーメーターが開発されていて、従来は測定不可能だった階段や坂道の昇り降りも含めた消費カロリー管理が可能です。このように医療装置の技術にもモーションキャプチャは積極的に応用されているのです。
完全自動型の採血が可能になる?
最新の研究では採血の完全自動化をめざすプロジェクトも進んでいます。現在はモーションキャプチャを使ってプロがどのようにして採血をするのか、その動作を解析している段階です。プロジェクションマッピング技術を応用して血管を見えるようにする研究も同時に進められており、臨床段階に進むことも視野に入ってきています。
医療従事者の2次感染防止に効果が見込めるだけでなく、自動血圧測定器と同じような感覚で採血ができることは、時間の短縮や人手不足などさまざまな問題の解決につながると期待されているのです。
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弘前大学 理工学部 機械科学科 教授 佐川 貢一 先生
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