隣の多文化共生、イスラームを知ろう
中東よりもアジアの宗教
多文化共生やグローバルな視点で世界を考える時、イスラームを抜きには語れません。世界の人口約80億人のうちおよそ20億人がイスラーム教徒だからです。預言者ムハンマドの後継者問題からスンナ派、シーア派と分かれますが、両派ともクルアーンとムハンマドを大切にするイスラーム教徒です。
中東のイメージが強いイスラームですが、イスラーム教徒が最も多いのはインドネシアで、2億人以上の教徒がいます。またインドやパキスタン、バングラデシュにも1億人以上いるアジアの宗教です。とはいえ日本のイスラーム教徒は20万人ほどと少なく、基本的な知識もほとんどない状況です。
カレンダーからイスラームを知る
イスラームとは、神にすべてを委ねるという意味でクルアーンに基づいた生き方全体を指します。日常生活に不可欠のカレンダーは、イスラームを学ぶ入り口として格好のアイテムです。
イスラーム世界では西暦とイスラーム暦が併用されています。「ラマダーン」は年間最大の宗教行事の一つで最も重要なものです。ラマダーンの1カ月間、昼間は断食をして、夜はお祝いの宴会を開きます。ラマダーンが明けると、イスラーム世界では大体どこの国でも「イード」と呼ばれる祝日が3連休続きます。晴れ着を新調し、子どもたちにはご祝儀を渡したり、離れて暮らす家族に会ったりと、楽しい休暇となっています。ラマダーンの時期を知るために、イスラームのカレンダーが必須なのです。
少子化の時代は来ない?
先進国のほとんどが少子高齢化、人口減の課題を抱えていますが、イスラーム諸国やイスラーム教徒のコミュニティには無縁の問題です。現代社会における是非は別として、子どもを結婚させるのが親の大きな義務であり、核家族とは異なる大家族的価値観がイスラームにはあるからです。
宗教学や社会学などからのイスラーム研究は歴史がまだ浅いですが、グローバルに広がるイスラーム世界を見据えると、今後、学際的で多様な切り口からどんどんイスラームにアプローチしていく必要があります。
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