イラン流コミュニケーション術! 「ターロフ」を理解する
本当に遊びに行く?
イランでは、知り合ったばかりの人にも「今度うちに遊びに来てください」「これからうちで食事でもどうですか」と気軽に誘うことがよくあります。また、「あなたの服はすてきですね」と褒めると、「もしよければ、この服を差し上げますよ」と返されることもあります。しかし、こうした会話は本気で言っているのではありません。「ターロフ」と呼ばれる、イラン特有の儀礼的な言語行動です。日本人が敬語を使って相手への敬意を表すように、イラン人はターロフによって相手への好意や感謝、謝意、情動を表現します。これには人間関係を円滑にする効果があります。
日本人との会話
しかし、ターロフの文化を知らない相手にターロフの会話をすると、誤解や行き違いが生じやすくなります。ターロフは、日本人が会話の冒頭に交わす季節のあいさつとも似ていますが、日本のあいさつよりもはるかに多くの時間と言葉を費やします。そのため、ターロフを知らない日本人は、内容に戸惑うだけでなく、会話が長く感じたり、不快に思ったりすることもあります。逆にイラン人からすると、日本人のそっけない態度が無礼に見えたり、物足りなく感じたりして、会話をどう終わらせればよいのかわからなくなることもあるようです。このように、外国人とのコミュニケーションにおいては、言語の違いだけでなく、ターロフのような独自の会話ルールを理解していないと、誤解が生じやすくなります。
文化を理解する社会のサポート
このようなコミュニケーションの誤解を減らすためには、お互いが相手の文化や会話の習慣を理解することが大切です。例えば、イラン人向けの日本語教材に、日本人がターロフの会話をどう感じるかを紹介することも、理解を深める有効な手段の一つかもしれません。
現在の日本にはさまざまな文化的背景を持つ外国人が暮らしています。日本社会全体として、ターロフに限らず異文化への理解やサポートも求められています。
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