NPOの経営学が、社会全体を変えるきっかけになる!
非営利組織なりの経営学
経営学といえば、企業における生産性や効率性の向上を目的とした学問というイメージがあるかもしれませんが、NPOや協同組合といった非営利組織においても当然必要とされています。営利目的でない団体では、利益を上げることではなく、地域や生活におけるニーズや課題に取り組むことが目的となる点で一般の企業とは異なります。経営学としても、ニーズや思いをいかに実現するかといった点に着目しますが、経営そのものが企業と全く違うわけではありません。経営のノウハウを企業から学ぶ場合もあります。
住民が主体的になる組織
日本での非営利組織に対する法整備は、1998年にNPO法、2022年に労働者協同組合法が施行されるなどして進んできました。
NPOが寄付金などの資金によって活動する団体であるのに対して、労働者協同組合は、農協や生協と同じく相互扶助によって成り立つ組織であり、組合員の出資によって活動しています。展開できる事業はほぼ自由で、キャンプ場の経営や、不登校児の居場所を支援する活動など、参加者が主体的に働くことのできる事業を選択できます。また、NPOと同様に、地域づくりやまちづくりなどの社会貢献に取り組みやすい組織であり、行政では手の届かない部分をサポートできるという側面も持ち合わせています。
社会の変化と非営利組織の変化
現在は、労働を中心とした社会から、個々の人間・生活・地域を基盤にした社会へと変革しつつある時代だと言えます。生活を犠牲にしてでも企業で働く人は減り、無理をしてまで働きたくないという人が今後も増えていくでしょう。非営利組織のあり方も、課題解決を重視するという考え方から、「仲間と一緒に何かをする」ということ自体が重視されるものへと変わってきています。その中で非営利組織の研究を深めていくことは、社会全体を住みよいものに変えていくきっかけとなり、人生を豊かにすることにつながる可能性を秘めています。
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先生情報 / 大学情報
駒澤大学 経済学部 現代応用経済学科 教授 松本 典子 先生
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