みんなで作る地図「OSM」 参加型GISでまちづくり活動にも!
生活の困りごとをデジタル地図で共有・解決
土地に関する情報をデジタルで管理する地理情報システム(GIS)とウェブが普及し、誰もが地図を使った活動に参加できつつあります。中でも市民がデジタル地図を使って主体的に活動を行うことを「参加型GIS」と呼びます。その事例の一つが「ちばレポ」で、全国の様々な自治体にも広がっています。例えば市民から「道路に穴が空いていた」などの街中にある困りごとを投稿してもらい、デジタル地図に反映させます。するとインフラの修繕などが必要な場所と細かな状況をひと目で把握できて、素早い対応が可能になりました。ちばレポでは困りごとだけでなく、珍しい動植物や桜の開花情報など、様々な情報を投稿してもらうことで、市民生活にも役立てようとしています。
世界中の市民が地図作りに参加
GISを活用するには、地図データ自体の充実が重要です。まちの姿は日々変化し、既存の地図には描かれていないローカルな情報も、地元の人々やまちづくりにとって重要な資源になります。こうした課題に対処するために、市民が基盤的な地図作りに参加することで、最新のデータを世界的に共有する取り組みが行われています。2004年からイギリスで始まった「OpenStreetMap(OSM)」では、全世界でこれまで1000万人以上が参加してリアルタイムでウェブ地図を更新しています。OSMでは整備された地理情報が、自由に使えるため、企業や国際機関でも活用されています。
参加型GIS研究と災害対応
OSMの活動状況を世界規模で比較して、各国の特徴を探る研究も始まりました。すると日本など自然災害の多い国では、災害前後に活動が活発になる傾向が見られました。日本でOSMが広まったきっかけも2011年の東日本大震災でした。その後、例えば建物の詳細情報や、地元の人が知る地名や道路などを予め記録することが役立てられそうだと注目されました。災害対応に限らず、参加型GISによって暮らしをよりよくしようと、研究や実践が続いています。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
駒澤大学 文学部 地理学科 准教授 瀬戸 寿一 先生
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