市民参加型の公共政策によって社会が動く
重要度を増す市民参加型の公共政策
近年、地方自治体の公共政策に市民が参加する、「市民参加」が進んでいます。例えば、行政の制度づくりに個々の市民が参加したり、さまざまな公共サービスの提供にNPO(Non-Profit Organization)や住民組織が関わったりしています。地方分権、地方自治などの動きが進む中で、自治体だけで公共的な問題を解決することは難しくなっており、市民参加のあり方が重要になっているのです。
市民の組織力が課題
公共政策への市民参加によって、多くのメリットが生まれます。例えば、地域の強みや問題点を日ごろから肌で感じている市民がその声を直接行政へ届けることで、より市民のニーズを反映した政策をつくることができます。また、法律や制度に縛られない柔軟なNPOや住民組織が公共サービスの担い手となることで、よりきめ細かく的確なサービスを提供できるようになります。
しかし一方で、そうした市民の活動の多くは、ボランティアなど個々の人々の善意によって支えられています。そのため、人手や資金が不足して活動が長続きしないことや、さまざまな意見や考え方があり、合意できないことなどがよく問題となります。公共政策に参加する市民としての組織力が問われているのです。
市民、行政だけでなく、議会も
また、市民参加型の公共政策を考えるうえでは、市民の代表である自治体議会のあり方も問題になります。本来、議会には、市民全体の代表として自治体の意思決定を行ったり、行政をチェックしたりする役割があります。しかし、これまで、市民のニーズをきちんと政策に反映できていないことや、そうした政策をつくる能力が不足していることなど、数々の問題が指摘されてきました。現在、全国で議会を改革していこうとする動きが進んでいます。市民、行政、議会を含め、地域を担う多様な主体の協働・連携によって、よりよい公共政策をつくり実施していくことが望まれています。
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先生情報 / 大学情報
徳島大学 総合科学部 社会総合科学科 准教授 小田切 康彦 先生
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