100年以上前に予言されていた現代の「生きづらい社会」

100年以上前に予言されていた現代の「生きづらい社会」

なんだか生きづらい日常

現代社会で生きていると、日々いろいろなことが求められ、多くの人が「生きづらさ」を感じています。今の日本がどんな国なのかを客観的に見るために、「平均寿命」「出生率」「主観的幸福度」「自殺率」の指標をOECD加盟国で比較してみましょう。すると「平均寿命は長い」けれど「出生率は低く」、「幸福度も低く」、「自殺率の高い」国だということがわかります。そんな日本社会の生きづらさは、YOASOBIやMrs. GREEN APPLEなどのJ-POPにも反映され、多くの共感を呼んでいます。しかし、現代の日本社会が「生きづらい社会」になることは、実は100年以上前から予測されていたのです。

100年以上前に予言されていたこととは?

予測したのは19~20世紀に活躍した経済学者のカール・マルクスと社会学者のマックス・ウェーバーです。マルクスは、資本主義が進むとさまざまな場面で人との関わりや個人の楽しみよりも利益が優先され、一人一人が「疎外」状態になると予測しました。またウェーバーは、規則順守を重視する官僚制が広がると、個人の思考や行動に対する自由が抑制され、社会全体が「鉄の檻(おり)」のような状態になると予測していました。さらに20世紀の哲学者ミシェル・フーコーによれば現代社会は「よく良く生きること」を個人に求め、個人は自分が社会の期待に見合っているかどうかを自ら気にして生きるようになる、つまり自分で自分を管理するようになると主張しました。

生きやすいと感じれる社会を目指していく

現代社会は社会システムに従順な人間をたくさんつくり出すという特徴があります。しかし、そのような社会はもはや限界に来ています。どうしたら生きやすい社会がつくれるのでしょうか。社会学では「生きづらさ」の解決を個人に求めるのではなくて、社会構造に直接アプローチして考えます。マルクス、ウェーバー、フーコーらのバトンを引き継いで現代社会をとらえ直し目指すべきミライを考えていきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 末盛 慶 先生

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社会学、社会福祉学

先生が目指すSDGs

メッセージ

現代は「生きづらい社会」であり、その中で高校生のあなたは十分頑張っていると思います。メッセージとして言うなら、いろいろな方に会ってお話をしたり、いろいろなところにお出かけしてみることをおススメします。「いろいろなんだな……」と思える経験はあなたのミライを支えていくと思います。社会学は、社会は構造に規定されるけれど、その構造を変えることもできるというメッセージを持った学問です。私の授業では「どんな社会をつくってみたいか」を皆で話し合う機会もあります。あなたのお越しを心より楽しみにしています!

日本福祉大学に関心を持ったあなたは

1953年の創立以来、卒業生は約9万人。全国に広がる卒業生ネットワークは、全国各地で就職を強力にバックアップしています。卒業生は福祉・医療、ヘルスケア部門を展開する一般企業や流通・商社、金融・保険、運輸・サービス、情報系の企業など、さまざまな分野にも進出。全国で幅広い分野での活躍が期待されます。また、本学では公務員・教員採用試験合格のために対策講座に力を入れており、多数の卒業生が、地方自治体、官公庁、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などで活躍しています。