LINEトークでがん患者に寄り添う、新しい看護のかたち
抗がん剤治療の変化で減る、病院での会話
がんの治療のひとつに、抗がん剤を使う化学療法があります。以前は点滴で、2~3時間かけて行われていましたが、近年は経口の抗がん剤を使うことが増えて、患者が病院に滞在する時間が短くなりました。そのため患者と看護師が会話をして、副作用などの悩みや心配事をキャッチアップできる機会が少なくなっています。そこでスマートフォンのLINEアプリを使って、がん患者とがん看護の専門看護師をはじめとした医療従事者とがつながれるコミュニケーションシステムを開発する研究が進んでいます。
がんの悩みをLINEで話す・支援する
がんになったとき、誰もが前向きに治療に臨めるわけではありません。抗がん剤の副作用や治療費の負担などから、治療をやめたいと思う患者もいます。がんを周囲に打ち明けられず、一人で不安を抱える患者も少なくありません。がんの悩みはさまざまで、個別の看護が求められますが、患者数の多い病院では日常業務も多く、一人ひとりと話をする時間は限られます。患者と医療従事者が会話をするシステムがあれば、治療の継続と、1日でも長く生きるための支援ができるでしょう。がんは、適切な治療によって完治することが増えている病気です。医療従事者が寄り添いながら、完治をめざしていくことにもつながります。
誰もが病院の枠を超えたケアを
医療や看護は、どこにいても同じケアを受けられることが重要です。LINEを活用した新しい看護システムが成功すれば、患者はかかっている病院の枠を超えて、がん専門の看護師や、医療従事者から支援が受けられるようになるでしょう。看護の領域では、YouTubeやSNSを活用した情報発信・コミュニケーションも試されていますが、患者が参加する際のハードルがありました。LINEは80代以上の高齢者でも日常的に使用している姿が見られ、より患者に近い、新しい看護システムになると期待されています。
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