新人訪問看護師を支えるには? 地域課題に応じた研修作り

新人訪問看護師の育成
訪問看護師の中には、病院で看護の経験を積んだ人もいれば、大学で看護を学んで卒業したばかりの人もいます。どちらの場合も、訪問看護ならではのスキルを身に付けて在宅療養者に寄り添える人材になることが求められます。
訪問看護ならではの課題
訪問看護は病院看護とは異なり、看護師は療養者の生活空間に入って仕事をします。そのため療養者や家族と良好な関係を築き、意向を尊重しながら、各家庭の環境に合わせて柔軟に看護を展開することが必要です。しかし調査結果から、単独訪問をする際に、この課題に戸惑う新人訪問看護師が多いことがわかりました。
そこで岩手県では、人材育成に力を入れるため、地域の関係機関が一丸となって取り組む研修プログラムを作りました。療養者の生活を日・週・月単位で捉えて予測的に看護の内容を考えたり、訪問場面を振り返りながら、家族介護者との接し方や在宅看護技術の留意点などを学びます。このプログラムは、現場の意見を取り入れながら改善を重ねて、新人のサポートに役立てられています。
行政との連携も課題に
その新人研修では、多職種連携に関する内容も教えられています。現場では訪問看護だけでは対処しきれない事態が起こります。特に必要性が増しているのが、行政との連携です。例えば療養者の容体が変わり病院受診が必要なとき、以前に比べて単身世帯の高齢者が増えており、家族の代わりの送迎の人手や車を手配しようにも確保できない事例が頻発しているのです。訪問看護師の個人の努力に委ねるのではなく、行政に伝えて連携できれば、住民の力を活用した移動手段の調整など、適切な支援を受けられるかもしれません。
ただし全国の訪問看護師と自治体保健師を対象にした調査では、「対応が遅い」「お互いが今何を必要としているのかわからない」など、連携に課題を感じていることが明らかになりました。療養者の現状を訪問看護師と保健師で共有し合い、地域全体で療養者の生活を支えていくために、効果的なサポートの研究が始まっています。
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