あらゆる状況に対応できる「頼れるAI」の開発
AIを効果的に活用するための工夫
最近、「生成AI」や「人工知能」といった言葉をニュースで耳にすることが増えているでしょう。これらのAIは、テキストや画像などのデータを大量に学習させたAIモデルを用いることが一般的です。しかし、ドローンのような小型の装置には、膨大なデータやAIモデルを高速に処理する能力を搭載できません。そのため、より軽量なAIモデルを用いて、効果的に活用するための工夫が求められています。
1つのAIモデルで複数のタスクを実行
AIモデルを効率的に利用する方法は多数あります。例えば、AIの学習段階で同じクラスに属するデータは近く、異なるクラスに属するデータは遠くに配置される様に特徴量空間を再構成する「距離学習」という技術があります。これにより、少ないデータからも効率的に識別できるようになります。さらに、クラス間の類似性を適切に学習できていれば、未知のクラスに対しても正しく分類できる「ゼロショット学習」という手法も可能になります。このようなAIモデルの効率化によって、1つのAIモデルで複数の目的を同時に処理することも可能になります。
エージェントが協調して賢く計算
一般的なAIモデルは、学習に「パラメータ」と呼ばれる変数を利用しており、大規模言語モデルといった最先端のAIサービスには100兆個以上のパラメータを持つモデルも存在します。これとは別のアプローチとして、少ないパラメータを持つ複数の「エージェント」が協調して計算するマルチエージェントと呼ばれる手法も以前から研究されています。個々のエージェントの能力は限られていても、全体としては精度の高い結果を出力できることから、経済現象のような多くの要素が複雑に絡み合った事象の分析にも利用できます。このような軽量なAIモデルも工夫次第で、社会のさまざまなシーンで頼りになるAIに発展させられる可能性があるのです。
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