数学を使って世界のつながりを解き明かす
点と線で構成されるグラフ理論
数学の世界でいう「グラフ」とは、点と線で構成されるものを指します。点をノードや頂点、線をリンクや辺といったりもします。人間にとって、データの表現は図の方がわかりやすいのですが、コンピュータは要素を1列に並べたベクトルや、ベクトルを並べた行列を使用して計算します。グラフ理論は、18世紀に活躍したレオンハルト・オイラーという著名な数学者が確立し、今日ではデータ分析や機械学習など幅広い分野に貢献しています。
クラス分類とクラスタリング
グラフ理論を使った解析は、「クラス分類」と「クラスタリング」に大別されます。インターネットで例えると、クラス分類はスパム(迷惑)メールの判別に有効です。同じ文面でもスパムか否かは受け手によって異なりますので、判別を学習するための基となる情報が必要です。クラスタリングはデータを塊(クラスター)に分けることに有効で、あるデータがどの塊(クラスター)に属するか否かに活用できます。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)で「この人も友だちではありませんか?」と紹介されることがありますが、人が属するコミュニティの解析にもクラスタリングが使われています。
友人関係も一目瞭然
グラフで表現しやすい例として、友人関係が挙げられます。グループ内の中心人物を求めたり、仲良しグループや派閥といった塊(クラスター)を見つけたり、人と人のつながりをさまざまに解析することができます。また、友人関係の場合、一方的に友人だと思う「片思い」があることから、人と人とを結ぶリンクに向きが生じます。グラフの解析には、グラフを表現する行列の「固有値」や「固有ベクトル」が使われることがあります。この理論をインターネットの検索エンジンに応用し、Webページのランキングに活用したのがGoogleです。「ページランク」では高度な計算が行われていますが、高校数学で学ぶベクトルがそのベースになっているのです。
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先生情報 / 大学情報
奈良女子大学 工学部 工学科 教授 吉田 哲也 先生
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