「子どもを育てる」ことの大切さと喜びを、中高生のうちに学ぶ重要性
打ち解けてくれない幼児が多い理由
中学時代の「幼児とのふれ合い体験学習」などで、なかなか打ち解けてくれない子どもはいませんでしたか? 実はあなたも、幼児期には同じような反応をしていたかもしれません。幼児が安心して接することができるのは、「自分にとってマイナスの存在ではない」と確信できる人だけなのです。ですから、普段の生活で触れ合う機会が少ない、中学生がどういう存在なのか、「品定め」する時間が必要だったのです。逆に最初から打ち解けてくれた幼児は、年齢の離れた兄や姉がいたり、親しい親戚に自分を可愛がってくれる中学生がいたりする環境で育っているのかもしれません。
「生きる」だけではなく「生活する」ということ
「生活する」とはどういうことか、考えたことはありますか。生活するためには、衣・食を確保し、住環境を工夫し、結婚したら夫婦が協力してそれぞれの役割を果たし、妻の出産後は、子どもを守り育てていかねばなりません。そのための知識や技術を、総合的に学ぶのが「家庭科」という教科です。
もしもあなたが、中学・高校の家庭科教員をめざしているのなら、「生活する」ことの重要性を生徒に教えなければなりません。特に子どもの心身の発達を科学的にとらえ、より良い夫婦関係に基づく育児環境について研究する「保育学」は、家庭科教員になるための必修科目の1つです。
子育てにおける父親の責任の重さ
日本の父親が子どもに関わる時間は、世界的に見てもトップクラスの短さで、父親(夫)の協力や理解が得られないために、母親が育児不安に陥るケースも少なくありません。子どもの安定した発達のためには、母親の精神的な安定が何よりも必要で、そのためには父親(夫)の、育児に対する理解と協力が不可欠です。つまり、母親と同じくらい、父親の責任が大きいと言っても過言ではないでしょう。
出産から就学までの生活環境は、子どものさまざまな能力の発達や人格形成に大きな影響を与えることがわかっており、そのことを中高生に教えることができる教科が、家庭科なのです。
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広島大学 教育学部 教授 今川 真治 先生
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