お金? やりがい? 人は何のために働くのか
やる気と報酬
人が仕事に対してやる気を出す動機には「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」があります。ほとんどの人が給料やボーナスの増額といった「金銭的報酬」に高い関心を寄せていますが、仕事のモチベーションを高める効果が持続するのは、実はせいぜい3カ月ほどだと言われています。それよりも、仕事の楽しさややりがい、ともに頑張れる職場の仲間の存在、または仕事を通して得られる成長といった「非金銭的報酬」の方が、持続的にモチベーションを高めることがわかっています。
働く時間と健康
日本の職場は「長時間働くことが美徳」とされた時代を経て、「働き方改革」の時代へと移行しています。社員の労働時間を管理して過重労働を防ぐことは、企業の重要な役割になっているのです。ある研究では、男性は月間70時間以上の時間外労働(残業)をすると主観的な健康観(自分自身が感じる健康状態)が悪化し、女性は40時間以上で悪化することがわかりました。一方、時間外労働が100時間を超えると、仕事に対する満足度は上がるという研究結果も出ました。ワーカホリック(仕事中毒)の状態に陥っていることが理由と考えられますが、健康リスクという意味では危険な状態にあると言えます。
働きやすい職場をつくるために
仕事へのモチベーションが何によって規定されるのかは、経営学や経済学の世界で長年研究されてきた問題です。例えば給与額や労働時間、上司のサポートやハラスメントの有無、あるいは仕事を通した社会への貢献度や自分の能力にあった仕事ができているかなどのさまざまな要素は、仕事の満足度や主観的健康観といった結果にどう影響するのでしょうか。企業へのアンケート調査やそこから得られたデータの分析を通して、これらを明らかにすることもその一環です。働き手が不足している現在、より働きやすい職場をつくる、あるいはそうした職場づくりを推進する制度をつくるためにも、こうした研究が必要とされているのです。
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