都市問題を地図から覗く
都市問題はみんなで解決
地図を眺めているだけで、街の抱える問題点を垣間見ることができます。特に、地方都市ではそれが顕著です。例えば岩手県盛岡市。旧市街地が三つの川に囲まれているので、そこに行くには必ず橋を渡らなくてはなりません。そのため街に入る車が多いと、橋のところで渋滞が発生します。また、大型ショッピングモールや新興住宅地が出来たことにより、旧市街地がさびれました。これは地方都市に見られる典型的な状態です。
盛岡市では、まず巡回バスを走らせることで旧市街地の活性化と渋滞の解消を図ることにしました。さらに“コンパクトシティ”の名の下に、大規模集客施設を極力郊外に建てないようにしたり、商業の中核施設や歴史観光施設を中心部に集めて整備することで、中心市街地の活性化を図ろうとしています。
しかし、こうした政策だけでは十分とは言えません。地域の活性化のポイントは人です。人々の活発なコミュニケーションが欠かせません。そこで、現在盛岡市の商店街でもイベントを催すなど、住民の手作りによる活性化運動も行われているのです。
進化するニュータウン
ひところ、話題を呼んだニュータウンは違った問題を抱えています。開発当初に入居した人たちの多くは働き盛りの30~40代でしたが、それから30年経ち、現在では60~70代の高齢者となっています。子どもは独立して街から出て行き、街全体が高齢化しています。東京の「多摩ニュータウン」でも“シャッター街”が現れています。
一方で“人口の減らない街”として成功している千葉の「ユーカリが丘」があります。ここでは年齢を重ねるごとに生活拠点を移動できる、というシステムを取り入れているので、若い人から高齢者に至るまで快適に暮らすことができます。高齢になると一戸建てを管理するのが大変になるのでマンションに引っ越し、空いた家には子どもの世代が入居します。さらに年を取ると今度はケア施設に移ることも可能です。施設に居ても子ども世帯が同じニュータウン内に暮らしていれば心強いことでしょう。
全国に数多くの都市や街と呼ばれる場所が存在します。そして、それぞれが多種多様な顔を持っています。現地に足を運んで確かめるのもよいですが、地図の上から俯瞰(ふかん)するだけでも街の姿がわかりますし、逆に“客観視”でき、けっこう楽しいものです。
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