講義No.14093 社会福祉学

「支援」とは、幸せで豊かな生活をサポートすること

「支援」とは、幸せで豊かな生活をサポートすること

社会と困っている人とをつなぐ

障害や高齢により、生活上の問題を抱えた人々と社会とをつなぎ、生活を支援するのが「ソーシャルワーカー」です。ソーシャルワーカーとは、社会福祉士や精神保健福祉士など対人援助の専門職の総称です。相談者の中には住まいや仕事など、地域の中での自立をめざす知的障害、身体障害、精神障害等のある方もいます。一人一人にニーズに合った福祉サービスやボランティア等の多様なサポートをつなげるために、ソーシャルワーカーは本人の意思を確認しながら援助を行います。障害のある方の場合、自分の意思を伝えることや、そもそも物事を決めること自体に困難を抱えている人もいます。

支援のやり方、あり方

たとえば知的障害のある方の場合は、読み、書き、話すことが困難なことが多いため、表情や身ぶり手ぶりから読み取って対話を重ねます。この部分は技術や経験によるところが大きいですが、もっと大切なのは、安心して自由に自分の言いたいことを言える信頼関係を築くことです。特に障害のある人を支援する場合、信頼がサポートの質に直結します。障害者が希望を言えるか、そもそも障害者が希望を持てているかといった、一見して見えないところまでサポートする姿勢が大切です。
そして、これは良好な関係性を築くという点で、障害の有無に関係なく、すべての人にとって豊かな社会生活を営むための重要なテーマといえるでしょう。

原点は人権の尊重

支援の原点は、「人権の尊重」です。支援する側の効率性だけを重視するなら、病院や施設に人を集めてサービス提供するほうが合理的かもしれません。しかし、どんなに障害が重くても地域の中で当たり前に暮らせるように支援することが、共生社会の基本理念です。現実には困難なことも多いですが、その人にとっての豊かな生活のために、さまざまな福祉サービスを利用しながらその実現に向けて支援していく必要があります。ソーシャルワーカーは、そのために人と福祉サービスをつないだり新しい資源を開発したり、さまざまな支援を行います。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

龍谷大学 社会学部 総合社会学科 健康・スポーツ社会領域 ※2025年4月開設予定(設置届出中) 教授 樽井 康彦 先生

龍谷大学 社会学部 総合社会学科 健康・スポーツ社会領域 ※2025年4月開設予定(設置届出中) 教授 樽井 康彦 先生

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社会福祉学

メッセージ

「健常者」「障害者」という区別は仮のものであり、本来はっきりとした境界線はないといえます。しかし現実の社会ではあらゆる場所に人を分け隔てる「バリア」が存在します。人は一人一人個性を持っていますが、なぜ社会の中でそれらが「健常」や「障害」として区別されていくのでしょうか。社会福祉がめざす世界は、人々が互いの違いを認め合う世界です。将来、福祉職に就こうと考えている人も、そうでない人も、人間や社会について深く考えていきたい人には社会福祉の学びはとても多くの洞察をもたらしてくれます。

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あらゆる「壁」や「違い」を乗り越えるために、「まごころ」を持ち、「人間・社会・自然」について深く考える人を育む。それが、龍谷大学の教育のあり方です。自分自身を省み、人の痛みに感応して、他者を受け容れ理解する力を持つ。人類が直面するリアルな課題と真摯に向き合う。そして様々な学びを通じて本質を見極める目を養い、自らの可能性を広げていきます。