スポーツを社会問題解決の「ツール」として生かす!

スポーツを社会問題解決の「ツール」として生かす!

スポーツが持つ「ツール」としての機能とは

休日に友人と遊ぶとしたら、あなたはどこで、何をしますか? もしサッカー観戦を選んだとしたら、それは友人と楽しむという目的のために、「スポーツ」という手段を選択したと言えます。スポーツは、スポーツ以外の目的を達成するための「ツール」としての機能も持っているのです。
例えば、あるチームのホームタウンで観客にアンケート調査をしたところ、チームへのロイヤルティ(忠誠心)の高い人は、地元への愛着も高いことがわかりました。この場合、スポーツは地域愛着を高めるツールとして機能していると考えられます。

地域への愛着を高め、誇りを喚起する

佐賀県鹿島市では毎年、有明海の干潟を会場に「鹿島ガタリンピック」というスポーツイベントが開催されています。大会を通して、干潟はここならではの地域資源となり、今や国内外から3万人以上が参加しているのです。スポーツは自然との親和性が高く、河川はラフティング、信号のない直線道路は長距離トレーニングなど、環境を保持しつつ活用していくことも可能です。そして、自分の住むまちに地域独自の魅力が生まれれば、集客による経済面での効果だけではなく、住民自身の誇りや愛着の喚起にもつながっていくのです。

社会のさまざまな問題・課題を解決する

地域に密着し、住民に支えてもらうプロスポーツのあり方を、日本で最初に実践したのがサッカーの「Jリーグ」です。選手は練習によって自分の価値を高めると同時に、草の根的なファンサービスによって住民との距離を縮める活動に取り組んでいます。
多くの選択肢からスポーツという分野に興味・関心を持ってもらい、効率よい集客につなげるには、どのように価値を高め、誰に、どう伝えていくかという視点・考え方が必要です。スポーツマーケティングの理論や手法を用い、社会のさまざまな問題や課題を解決するツールとして、スポーツを活用する研究が盛んに行われるようになってきています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

関西学院大学 人間福祉学部 社会起業学科 教授 林 直也 先生

関西学院大学 人間福祉学部 社会起業学科 教授 林 直也 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

スポーツ経営学

メッセージ

専門は「スポーツマネジメント」で、社会問題解決のための「手段」「ツール」としてのスポーツのチカラに注目し、学生と共に研究・実践活動に取り組んでいます。
世界にはたくさんの社会的な問題・課題が存在しています。問題・課題があるところには、必ず問題を解決してほしいと願っている人たち、つまり「ニーズ」が同時に存在します。そのニーズを満たし、社会問題の解決につながるようなスポーツの活用方法を、一緒に勉強していきましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

関西学院大学に関心を持ったあなたは

スクールモットーである"Mastery for Service"は、「奉仕のための練達」と訳され、関西学院の人間として目指すべき姿を示しています。1889年にアメリカ人宣教師W.R.ランバスによって創立された関西学院は、このスクールモットーを体現する、世界市民を育むことを使命とし、現在、関西学院の3つのキャンパスでは、約2万人の学生が個性あふれる14学部で学んでいます。2021年4月からKSC(神戸三田キャンパス)は文系の総合政策学部と理系の理、工、生命環境、建築学部の5学部体制となりました。