アプリの多機能・高機能化を陰で支える、「テスト効率化」の技術
「バグ」が使い勝手を悪くする
スマホやタブレットを使っていて、「このアプリでこの操作をすると、いつもフリーズしたり勝手に終了したりする」といった経験はありますか? それはきっと、ソフトウェアに潜むプログラミングのミス「バグ」のせいです。
ソフトウェア開発作業の大部分は人間が手作業で行っているので、ミスや勘違いを完全にゼロにすることは極めて困難です。しかもソフトウェアは製品としての形が目に見えないので、ソースコードの記述中に何らかの誤記があっても、実際に動かしてみるまではバグがあることに気づきにくいのです。
自動化・可視化で、テストを効率的に
バグのない信頼性の高いソフトウェアを提供するため、ベンダー(製造・販売元)側もかなり綿密なテストを行っています。ただ、あらゆるユーザーのすべての操作を再現することは不可能ですから、十分なテストを行ったつもりでも、想定外のミスが潜んでいるのです。そこで現在、ソフトウェアのテストを自動化したり可視化したりすることで、効率的にバグを発見する技術が研究されています。
主に行われているのは、プログラム言語を機械語に変換する「コンパイラ」の技術を利用して、テストしたいプログラムのコードに、テストを自動化したり可視化したりできる機能を持った別のコードを埋め込んで、プログラムを実行する方法です。この埋め込んだコードを利用して、テストの自動化や可視化を可能にします。
多機能になるほど重要なテストの効率化
スケジュール管理アプリにリマインダーの機能を持たせたり、写真管理アプリに複雑なフォトレタッチ機能を持たせたりと、ソフトウェアの多機能・高機能化が急速に進んでいます。機能を増やせば記述すべきコードも増え、作成時にミスが発生する確率も高くなりますから、テストを効率的に行う技術はますます重要になります。
この分野の研究が進み、テストに費やす時間や人件費が大幅にカットできれば、信頼性の高いソフトウェアを短期間に完成させることができ、その分、安価に提供できるようにもなるのです。
参考資料
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宮崎大学 工学部 工学科 情報通信工学プログラム 教授 片山 徹郎 先生
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