「過去・現在・未来」の時間軸で考える作業療法のリハビリ
その人らしい未来の生活をサポート
病気やけがで体が動きにくくなった場合、作業療法士が行うリハビリは、一人一人の対象者の「過去・現在・未来」の時間軸から「その人がやりたいこと」をかなえられるように内容を考え、変化させるところが大きな特徴です。このため、学校生活や仕事、家事、スポーツ、趣味など、あらゆることが目標になり得ます。
部活の再開が目標だとしても、サッカー部と軽音部ではリハビリのメニューは違います。病気やけがをする前の、対象者の過去の生活を振り返りながら現在の心身の状態を評価し、その人らしい未来をサポートすることが作業療法であり、その内容は十人十色です。
その人にとって座りやすい車いすは?
福祉用具を選び、調整することも作業療法士の大切な役割のひとつです。例えば車いすは、対象者の体形や障害だけでなく、「いつどんなふうに使うか」を考えて選びます。外出時の移動にだけ車いすを使う人と、車いす中心の生活で座ったまま仕事や趣味活動をする人では、必要となる車いすの種類、座面や背もたれの設定、利用するクッションなどが異なります。
車いすのフィッティングで、意外に重要なのが足の位置です。車いすの足台に足をのせると足がひざより前に出がちですが、ひざを90度に曲げた位置に足を置くほうが、座ったまま作業をするときに手が使いやすい対象者がいるという研究結果も出ています。
脳の再学習を促す
脳梗塞の後遺症で左右どちらか半身にまひの症状が残り、腰やおしりの感覚がにぶくなると、反対のまひがなく感覚がある側に傾いて座るようになることがあります。そのままだと脳が傾いた状態を「まっすぐ」だと再学習してしまうため、骨盤をしっかり支えるタイプの車いすなども活用しながら正しい姿勢を脳に覚えさせます。
回復のプロセスに合わせて車いすを変えていくことも大切です。作業療法士は対象者の様子をよく見ながら、福祉用具についての専門知識を活かして、リハビリがうまく進むように用具を活用しているのです。
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先生情報 / 大学情報
東北福祉大学 健康科学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻 講師 浮田 徳樹 先生
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