子どもの豊かな発達を促すクラスづくり

子どもの豊かな発達を促すクラスづくり

子どもが自然になじめるクラス

保育の現場では、障がいのある子どもや特別な配慮を必要とする子どもに対して、保育者たちはどのように関わるべきかを日々試行錯誤しています。そんな中、日頃からみんなで楽しく過ごす雰囲気ができあがっているクラスでは、周囲となじみにくい子どもも自然に輪の中に入り、笑顔で過ごす様子が見られることがあります。対象となる子どもに保育者が個別に働きかけることももちろん大切ですが、その子どもを含めた集団(クラス)づくりも、実は大きな鍵を握っているのです。

友だちの声がけがよい影響を与えることも

あるクラスでイス取りゲームをした時のことです。そのクラスには、ゲームに負けたりすると、すぐにかんしゃくを起こしてしまう女の子がいました。ところが、その日はクラスメートの2人が駆け寄り、「私たち、仲間だからね」と声をかけました。すると、その女の子は楽しそうにイス取りゲームに参加して、負けてもかんしゃくを起こすことはありませんでした。それどころか、最後には声をかけてくれた友だちを応援する姿まで見られました。
このように、ポジティブな影響を与えてくれる友だちや集団の中で過ごすことは、特別な配慮を必要とする子どもの心や行動に、自然とよい変化をもたらすことがあります。

みんなが成長し合える集団づくり

一方で、特別な配慮を必要とするクラスメートと過ごすことは、周りの子どもたちにとっても成長のきっかけになります。子どもは集団生活を通してさまざまな人と関わる中で、困っている人を助けたり、励ましたり、時には先生の接し方を手本にしながら「見守る応援」の仕方を学んだりしています。そうした経験は、多様性が尊重されるこれからの社会の担い手として、相手を思いやる豊かな人間性を育むことにつながります。
障がいの有無や特性にかかわらず、すべての子どもたちが互いに育ち合える集団づくりが、保育の現場に広がっていくことが期待されます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北福祉大学 総合福祉学部 社会福祉学科 准教授 平川 昌宏 先生

東北福祉大学総合福祉学部 社会福祉学科 准教授平川 昌宏 先生

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生涯発達心理学、発達支援学、保育学

メッセージ

豊かな発達とは何か、私の中で明確な答えはまだ見つかっていません。ただ、「私はこんな経験をしてきた!」と前向きに語れる体験をたくさん持っていることが、豊かな人生につながるのではないかと感じています。ですから、高校でも大学でも、後に前向きに語れるような経験をたくさん積み重ねてほしいです。そして、できれば1つのことに粘り強く取り組んでみましょう。継続するにはエネルギーが必要です。一緒にがんばれる仲間や励まし合える仲間がいれば、より続けやすく、いい思い出にもなるはずです。

東北福祉大学に関心を持ったあなたは

東北福祉大学は、「行学一如」(理論と実践の融合)を建学の精神に掲げ、SDGsや地域共生社会の実現に貢献する人材の育成に努めています。本学は福祉・心理・行政・経営・教育・看護・リハビリ・医療事務が学べる4学部8学科の幅広い学びを擁する全国有数の福祉系大学です。キャンパス内には、特別養護老人ホームや保育園、幼稚園、附属病院などがあり、学生の実習やボランティア活動の場にもなっています。大学で学んだ知識を、現場で実践することにより、実践力及び考察する力・理論化する力を兼ね備えた人材の育成をめざします。