子どもの豊かな発達を促すクラスづくり

子どもが自然になじめるクラス
保育の現場では、障がいのある子どもや特別な配慮を必要とする子どもに対して、保育者たちはどのように関わるべきかを日々試行錯誤しています。そんな中、日頃からみんなで楽しく過ごす雰囲気ができあがっているクラスでは、周囲となじみにくい子どもも自然に輪の中に入り、笑顔で過ごす様子が見られることがあります。対象となる子どもに保育者が個別に働きかけることももちろん大切ですが、その子どもを含めた集団(クラス)づくりも、実は大きな鍵を握っているのです。
友だちの声がけがよい影響を与えることも
あるクラスでイス取りゲームをした時のことです。そのクラスには、ゲームに負けたりすると、すぐにかんしゃくを起こしてしまう女の子がいました。ところが、その日はクラスメートの2人が駆け寄り、「私たち、仲間だからね」と声をかけました。すると、その女の子は楽しそうにイス取りゲームに参加して、負けてもかんしゃくを起こすことはありませんでした。それどころか、最後には声をかけてくれた友だちを応援する姿まで見られました。
このように、ポジティブな影響を与えてくれる友だちや集団の中で過ごすことは、特別な配慮を必要とする子どもの心や行動に、自然とよい変化をもたらすことがあります。
みんなが成長し合える集団づくり
一方で、特別な配慮を必要とするクラスメートと過ごすことは、周りの子どもたちにとっても成長のきっかけになります。子どもは集団生活を通してさまざまな人と関わる中で、困っている人を助けたり、励ましたり、時には先生の接し方を手本にしながら「見守る応援」の仕方を学んだりしています。そうした経験は、多様性が尊重されるこれからの社会の担い手として、相手を思いやる豊かな人間性を育むことにつながります。
障がいの有無や特性にかかわらず、すべての子どもたちが互いに育ち合える集団づくりが、保育の現場に広がっていくことが期待されます。
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