国境を越えて! 看護師が海外で活躍する医療支援の現場

国際協力を行う看護師の役割
海外に派遣された看護師は、途上国や紛争地域などで活動しています。しかし、直接医療行為をするわけではありません。注射や薬の処方などは、現地のライセンスを持つ看護師にしかできないからです。派遣された看護師は、看護の知識や技術を活用して、現地調査や医療チームのマネジメントなどを行っています。世界の人々の健康と幸せを支え、世界の看護師とお互いに協力することがその役割です。
タイでHIVの新規感染者が減ったのはなぜ?
現地調査の事例を見てみましょう。世界中でHIVが流行した1990年代、タイではある時期からHIVの新規感染者が減少しました。変化の背景を探り、ほかの国にも取り入れようと調査が行われました。その結果、国が主導となって看護師にHIVに関する専門的な教育を施したこと、そして専門教育を受けた看護師たちが、その知識や技術をタイ各地に広めていたことがわかったのです。
看護師が感染拡大防止に貢献
途上国の地方や村では医師が少ないため看護師が対応し、病院施設での検査や手術などが必要になった段階で医師に紹介しています。日本とは違い、看護師のもとに来ることが治療の第一歩なのです。しかし、地域や家族から差別を受けていたHIVの感染者は、秘密にするため看護師のもとに相談に来ませんでした。そこで看護師たちは地域住民に向けて、HIVはどのように感染するのか、予防はどうすれば良いのか正しい知識を理解してもらい、過度に恐れないよう伝えたのです。差別を少なくし相談しやすい状況になることで、看護師たちによる継続した投薬治療や看護が行えるようになりました。このようなタイにおけるHIVの新規感染者の減少という成功事例は、世界各国で模範となり、感染拡大防止と治療に役立ちました。
現在でも世界中の看護師たちは、各国で行われている看護の事例を参考にするために調査したり、途上国や紛争地では現地の課題を突き止めて改善のために尽力したりと、国際的に協力して住民の健康を支えています。
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