世代の異なる人との交流を通して若い世代は何を学ぶ?
注目される世代間交流の効果
異世代の人々が相互に協力し合って働き、助け合うことを「世代間交流」といいます。若い世代の人々が高齢者から様々な知識やスキルを学んだり、高齢者が若い世代に伝えることで喜びを感じるなど、世代間交流には多くの効果があります。こうした効果に注目した研究が1960年代に米国で始まり、国内でも広く研究が行われています。
看護を学ぶ学生と高齢者との世代間交流「予防的家庭訪問実習」では、看護学生が専門職として学び、高齢者が健康に対する意識を高める効果が明らかになっています。
予防的家庭訪問実習とは?
予防的家庭訪問実習は看護大学の授業の一つですが、医療機関で行われる他の実習と異なり、地域で行うとてもユニークな実習です。この実習では、看護学生が地域に住む高齢者の自宅を訪問し、その人の生活や人生について理解を深め、健康と生活の支援を考えることなどを目的としています。実習では、1~4年生が同じグループになり、高齢者の自宅を定期的かつ継続的に訪問し、学生はグループで話し合いながら支援を考えていきます。
予防的家庭訪問実習による看護学生の学びと成長
看護学生は予防的家庭訪問実習を通して様々なことを学びます。あるグループは70代の男性の趣味である釣りに同行し、様々な動作や判断、思考などが男性の健康につながっていることに気づき、支援を考えていきました。また、あるグループは70代の女性が地域のボランティアを生きがいにしていることを知り、健康を維持増進するうえでの強みと考えて、その人に関わるようになりました。このように学生は予防的家庭訪問実習の高齢者との交流を通して看護学における重要な視点を学ぶことで専門職として成長し、高齢者は学生との交流を通して健康に対する意識を高めています。
世代間交流は若い世代の人々が様々なことを学び成長する機会であり、高齢者にとっても健康や人生の豊かさに繋がる機会になっているのです。
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