講義No.14282 看護学

世代の異なる人との交流を通して若い世代は何を学ぶ?

世代の異なる人との交流を通して若い世代は何を学ぶ?

注目される世代間交流の効果

異世代の人々が相互に協力し合って働き、助け合うことを「世代間交流」といいます。若い世代の人々が高齢者から様々な知識やスキルを学んだり、高齢者が若い世代に伝えることで喜びを感じるなど、世代間交流には多くの効果があります。こうした効果に注目した研究が1960年代に米国で始まり、国内でも広く研究が行われています。
看護を学ぶ学生と高齢者との世代間交流「予防的家庭訪問実習」では、看護学生が専門職として学び、高齢者が健康に対する意識を高める効果が明らかになっています。

予防的家庭訪問実習とは?

予防的家庭訪問実習は看護大学の授業の一つですが、医療機関で行われる他の実習と異なり、地域で行うとてもユニークな実習です。この実習では、看護学生が地域に住む高齢者の自宅を訪問し、その人の生活や人生について理解を深め、健康と生活の支援を考えることなどを目的としています。実習では、1~4年生が同じグループになり、高齢者の自宅を定期的かつ継続的に訪問し、学生はグループで話し合いながら支援を考えていきます。

予防的家庭訪問実習による看護学生の学びと成長

看護学生は予防的家庭訪問実習を通して様々なことを学びます。あるグループは70代の男性の趣味である釣りに同行し、様々な動作や判断、思考などが男性の健康につながっていることに気づき、支援を考えていきました。また、あるグループは70代の女性が地域のボランティアを生きがいにしていることを知り、健康を維持増進するうえでの強みと考えて、その人に関わるようになりました。このように学生は予防的家庭訪問実習の高齢者との交流を通して看護学における重要な視点を学ぶことで専門職として成長し、高齢者は学生との交流を通して健康に対する意識を高めています。
世代間交流は若い世代の人々が様々なことを学び成長する機会であり、高齢者にとっても健康や人生の豊かさに繋がる機会になっているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大分県立看護科学大学 看護学部 看護学科 看護管理学研究室 教授(学部長) 福田 広美 先生

大分県立看護科学大学 看護学部 看護学科 看護管理学研究室 教授(学部長) 福田 広美 先生

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看護学

メッセージ

世代間交流は、誰でも身近な地域でできる取り組みです。もし、普段あなたが何気なく異世代の人と交流をしているとしたら、それがあなた自身の成長や相手の健康にプラスになっているでしょう。そして看護学を学べば、看護の知識や技術を生かして新たな交流ができるはずです。看護学は実践の科学です。本学は看護教育をリードする大学として、日本で初めての試みに数多くチャレンジしています。新たな看護の可能性を追い求めて発展させていく喜びを、あなたと共有できることを楽しみにしています。

大分県立看護科学大学に関心を持ったあなたは

1学部1学科の単科大学なので、看護学に特化した環境で学べます。全ての資源は看護学生のために用意され、1学年定員80名に対して教員約60名の体制による手厚い教育が行われます。
全国的にも珍しい予防的家庭訪問実習では、地域住民の暮らしを通して看護職に必要な知識、技術、精神を学び、住み慣れた地域での生活を支える地域志向マインドを醸成します。
充実したカリキュラムのもと、あなたが目指す看護師像がきっと見つかります。